研究概要 |
Docetaxelやpaclitaxelのようなタキソイドは癌治療を大きく進展させたが,水溶性の低さと癌組織への選択性の低さという問題を残している.そこで,O-N分子内アシルおよびアシロキシ転移戦略に基づいた水溶性の高いプロドラッグに焦点を当てることにした.この戦略はプロドラッグ中に,paclitaxelへの変換に際して分解・遊離される余分の補助基を使わないため,毒性学および医療経済の観点から大きな利点である.さらに,O-Nアシロキシ転移反応は有機溶媒不使用,副産物も生成しないため,有機およびグリーン化学の観点からも有望な方法である.さらに,paclitaxelの癌細胞選択的プロドラッグの開発にも焦点を当てるため,タキソイド化学療法に付随する副作用の解決にも極めて有利である. 1.Paclitaxel型O-Nアシル転移型タキソイドプロドラッグの合成とin vitro評価を行った. 2.Docetaxel型O-Nアシル転移型タキソイドプロドラッグの合成とin vitro評価を行った. 3.これらのうち有望なプロドラッグのin vivo評価の準備を進めている. 4.O-N分子内アシロキシ転移反応の,有機化学における一般化と応用研究を行った. 5.イソタキセルの3'N-誘導体の合成を進めている.本誘導体は,プロドラッグ化に補助的癌細胞標的残基を用いた.この基は酵素的に切断可能であるため親化合物を遊離するようにデザインされている.
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