研究課題
特別研究員奨励費
モデル植物のシロイヌナズナをはじめ様々な植物において、複数の耐性遺伝子を一度に働かせる転写因子を導入する遺伝子組換え技術がストレス耐性植物の作出に有効であることが確認されている。本研究課題では、その一環として、イネの低温ストレスで機能するシス因子に結合するトランス因子(転写因子)の単離を目指している。本年度は、低温ストレス誘導性に関わる新規シス因子の一つJRC2606のプロモーター領域から単離されたOsDREB1J及びOsRAP2.4Aについて、ゲルシフトを用いたin vitro系及び酵母を用いたin vivoの系結合性を確認する実験を行ったところ、これらのタンパク質はDREに特異的に結合していることが確認された。転写活性化能を調べる実験を酵母とイネプロトプラストで行った結果、OsDREB1Jは転写活性化因子として機能するが、OsRAP2.4Aは転写抑制因子として機能することが明らかになった。さらに、これらの転写因子の機能を解析するために、イネとシロイヌナズナの形質転換体を作製して解析した結果、OsRAP2.4Aを高レベルで発現している形質転換イネ及びシロイヌナズナは生長の遅れを示し、発現レベルが高くないものでは生長の遅れは見られなかった。OsRA.P2.4Aを過剰発現するシロイヌナズナについて高塩・乾燥耐性を調べた結果、中程度にOsRAP2.4Aを発現しているものは耐性が上昇していたが、逆に高レベルで発現しているものでは耐性が減少していた。Pham博士の研究データを引き継ぎ、イネの低温ストレスで機能するシス因子の探求と解明を進めていく予定である。
すべて 2006
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Plant & Cell Physiology 47(1)
ページ: 141-153