研究課題/領域番号 |
04F04655
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
荒川 泰彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授
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研究分担者 |
XU M. 東京大学, 先端科学技術研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | DNA / DNA分子の電気特性 / 超高真空走査トンネル顕微鏡 |
研究概要 |
DNA研究は、現在、ナノエレクトロニクスの重要なファクターとなりつつある。特に二重らせん構造中の塩基対軌道がオーバーラップすることにより発生する導電性については多くの研究者の興味を集めている。DNA分子による電荷移動は光学的測定によって最近実証されており、現在DNA中の電荷移動メカニズムはsuperexchange、hopping、polaronによるものと考えられている。しかしDNAの電子的特性の詳細については、未だ多くの議論の的となっており、その特性は、接触、DNA形式、シーケンス長および測定環境によって、絶縁体、半導体、導電体あるいは超伝導材料とおおきく変化する。このことは理論的にも、接触、シーケンスおよび環境がDNA分子の電子輸送に著しく影響することが示されている。従って、このDNAの導電性を実験的に詳しく調べることは極めて意義深いものであり、それを用いた将来のデバイス実現のためには不可欠である。 DNAの電子的特性を調べるために、その環境として、ガラス、金基板、さらにGaAs基板を用いて、さらにその接触を良くするための最適な溶媒を調べ、DNA形式およびシーケンス長の違うDNAを用意して、詳細に研究を行った。その結果、超高真空走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて、走査トンネル分光(STS)測定を行うことにより、初めて、単一DNA分子の電子特性測定に成功した。サンプルとSTM探針の距離を変化させることにより、それぞれの距離に対応した電圧・電流曲線を再現性良く得ることができた。この測定から得られたバンドギャップ値は、2.88eVで、理論的に予測された値である3.0eVと良く一致した。この得られたバンドギャップ値は、二重らせん構造に沿ったヌクレオシド分布の不均一性によるものと考えられる。さらにDNA分子中の電荷輸送にDNA緩衝液中の対イオンが重要な役割を果たすことがわかった。 本研究は、再現性のよい測定手法を確立したことで極めて有意義であり、また形式およびシーケンス長の違うDNAを系統的に測定することにより、将来、研究者、技術者が参照できる基礎的なデータベースを構築すること可能であることを示した点は、今後の科学技術の発展、とくにバイオナノテクノロジーの進展に大いに寄与するものである。
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