研究概要 |
ザンボン氏は,境界および欠陥を持った可解な場の理論の研究を更に進めた。特に1次元の場の理論で,欠陥の両側において場の値に跳びのある"ジャンプ欠陥"のいろいろな性質を種々な可解場の理論(サイン・ゴルドン,非線形シュレーディンガー,コルトヴェーグ・ド・フリース,修正コルトヴェーグ・ド・フリース等)の枠組みの中で,古典論・量子論の両面において明らかにした。本年の研究は,その中でも特に,相対論的不変性を持ち,厳密な因子化された散乱行列を持ち,とても豊かなソリトン解を有するA-型のアファイン戸田場の理論(純虚数の結合定数)に焦点を当てた。種々のソリトンとジャンプ欠陥の相互作用を調べると,驚いたことにソリトンと反ソリトンとの間に大きな差があることがわかった。これは,古典論での状況,「反ソリトン解はソリトン解の複素共役であること」と非常な隔たりである。この事実の解明が,A-型のアファイン戸田場の理論のソリトン解の構造に光明を与えると期待される。 科研費により,ザンボン氏は,フランス・Cergy-Pontoiseの大学や,奈良女子大学で研究発表をし,討論・共同研究を行った。 佐々木は,ザンボン氏と密接に議論・共同研究を続けると同時に,可解な量子力学系の基本的問題である,ハイゼンベルグ表示での厳密解の構成と生成・消滅演算子の具体的構成とを研究した。種々の解ける量子力学系と,離散量子力学系について,上記の目的を達成し,論文発表をし,数カ所で招待発表を行った。
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