研究概要 |
前年度の研究において,Hilbert固有形式に付随するρ^^-に対し,ある特別な条件のもとではあるが,ρ^^-に付随する無限個のHilbert保型形式がなすp進解析的な無限族を構成することができた. 今年度に入り,この結果に関する論文"On p-adic families of Hilbert cusp forms of finite slope"を執筆しJournal of Number Theoryに投稿しており,現在査読中である.この論文を執筆するにあたり,海外のp-進Hilbert保型形式の専門家たちと研究打ち合わせをする必要があり,フランスのストラスブール大学やドイツのエッセン大学,マックスプランク研究所に出張し,とくにエッセン大学とマックスプランク研究所では講演発表もさせていただいた.p-進保型形式の専門家が少ないとはいえ,国内の研究者とも研究打ち合わせを行うため様々に出張し,交付金額全体の98.6%を旅費として使わせていただくこととなった. その一方,自身の研究成果を踏まえ,有理数体上のp-進保型形式の無限族と実2次体上のそれとの相互関係を調べており,特別な条件下では互いに基底変換で移りあうことを証明できた.今後,この結果がより一般の条件下で成立するかどうか追究してまいりたい.
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