研究課題/領域番号 |
04J00276
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
気象・海洋物理・陸水学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋口 典子 (岡本 典子) 京都大学, 生存圏研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 赤道大気 / 対流圏界面 / インドネシア / 季節変化 / 積雲活動 / TTL / 時空間構造 |
研究概要 |
8月に出版となった論文では、高層気象観測データを基に、インドネシア国内における圏界面温度/高度の季節・経年変化とその空間構造について示した。その中で、インドネシアにおいては、他熱帯域で知られていたような年周期変動に加え、約1K/0.5kmの温度/高度上昇が2月/4〜5月に現れていることを指摘した。即ち、季節変化はむしろ半年周期変動に近い。そこで本年度は、ECMWFが提供している再解析データ(ERA-40)等を用いて、この半年周期成分の熱帯における空間的広がりや成因について解析をおこなった。 結果として、温度場における半年周期変動(成分)は、A)東半球赤道域(150°E以西)と、B)西半球赤道域(120°W,40°W付近のみ)及びその高緯度側(15°NS付近)の2領域においてのみ現れ、100hPa〜対流圏界面の限られた高度範囲で年周期変動に対して半分の振幅をもつことがわかった。このように出現範囲の局所性から、成因は下部成層圏に存在するBD循環の強度変化(年周期変動はこれに由る)ではなく、別の要素によるものと判断される。 また、位相(北半球冬季における温度上昇の時期)は、A)2月上旬から下旬にかけ、出現領域の東西両端からインド洋にかけて徐々に時間差をもって現れるのに対し、B)1月下旬でほぼ同時であった。特にA)においては、この一時的な温度上昇と、同高度帯における西風シアーや南半球側における雲活動がよく一致していた。即ち、南半球側での季節的な積雲活動の活発化(インドネシア側、アフリカ大陸側からインド洋に向かって発達する)によって、150hPaレベルでの風速場が強まり(アウトフロー)、それが赤道上では東風を強めるセンスを持つことから、相対的に西風シアーとなっていたと考えられる(実際、この季節の温度と風速場は温度風の関係でよくバランスしている)。 一方、B)は対流圏の熱源応答として現われる冷たい領域(中央太平洋、南アメリカ大陸)の東側に相当する。この冷たい領域は12月末から1月上旬にかけて最も東西に拡大(発達)する。また、3月末にかけて大陸上の対流活動域が北遷、赤道上に位置し、同高度を広い範囲で再び冷やす。すなわち、B)では1月下旬の前後でその高度域が冷やされ、結果的に1月下旬の温度が相対的に高くなることで強い半年周期成分を持つことがわかった。 このように、同じ半年周期成分(北半球冬季の温度上昇)として現われていても、東西両半球でその出現構造が異なっていることがわかった。この出現構造の違いは、ケルビン波・MJOなどの季節変動以下の周期成分をもつ擾乱の伝播に大きく作用すると考えられる。
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