研究課題/領域番号 |
04J01142
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
義永 那津人 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 高分子物理学 / 非平衡統計物理学 / ソフトマター / 折り畳み相転移 / 折り畳み相転位 / 力学特性 |
研究概要 |
単一セミフレキシブル高分子鎖は、DNA等の生体高分子のモデルとしてその物理化学的性質が議論されてきている。その中で、興味深い物性の一つとして折り畳み相転移が注目されている。この転移において、DNAは、良溶媒から貧溶媒環境への変化に伴い核形成・成長過程により折り畳まれ、一方再び良溶媒環境に戻すと今度は徐々にほどけていく過程が見られる。生体高分子でこのような構造転移がその機能と深く関わっており非常に重要である。しかし、その理解は未だ発展段階である。特に、ナノメートルからマイクロメートルスケールの中間的な大きさの系の振る舞いは、揺らぎが非常に重要な役割を果たすことからその取り扱いは非常に困難であり、その理解があまり進んでいない。 本研究では、自由エネルギー変化と散逸のバランスから粗視変数に対する運動方程式を求め、その時間発展を理論的に議論した。その結果、凝縮過程においては等速の速度過程が、また脱凝縮過程においては、初期の速い過程の後に二つの動的スケーリング指数を持つ過程が得られた。さらに、シミュレーションを行い理論から予想されるスケーリング指数との比較を行ったところ良い一致が得られた。 また、本研究では一分子内に不均一性をもつ高分子の折り畳み相転移についても調べた。生体高分子の多くは多種のモノマーから構成されていて、その配列が分子全体の構造と強い相関を持つことが知られている。ここでは、特定の高分子の特定の配列に注目するのではなく、統計的に特徴付けられた配列やそれに伴う不均一性が分子全体の構造に及ぼす影響について調べた。これは、多種多様な生体高分子を普遍的に理解するための重要なステップであると考えられる。具体的には本研究では、親水性と疎水性の二状態をとり得るモノマーからなる高分子の折り畳まれた構造について調べた。二状態間は確率的に遷移するため配列は時々刻々と変化する。しかしながら、全体の構造は、疎水状態のモノマーが内側にあり親水状態のモノマーが外側にあるいわゆるコア・シェル状となることが明らかなった。また、このとき配列にべき的な相関が見られることを明らかにした。
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