研究課題/領域番号 |
04J01215
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生物生産化学・生物有機化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村上 一馬 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβ / 凝集 / 神経細胞毒性 / ラジカル / 異性化 / ラセミ化 / オリゴマー / βアミロイド / ターン / ESR / 過酸化水素 / アルツハイマー / Aβ42 / β-シート / プロリン |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)の原因物質であるアミロイドβ(Aβ42)ペプチドは、凝集することで神経細胞毒性を示す。本研究者らは最近、Glu-22およびAsp-23におけるターン構造を特徴とするAβ42の新しい凝集体モデルを提唱した。本ターン構造は、Aβ42の凝集能、細胞毒性およびラジカル産生能と密接に関連していると同時に、この部位は家族性ADに見られる変異(E22Q、E22K、E22G、D23N)が集中している箇所でもある。特に、Asp-23は異性化およびラセミ化しやすいことが孤発性AD患者の脳組織解析より知られている。本研究では、凝集および毒性発現機構における23位の役割を調べる目的で、Asp-23の潜在的なAβ42変異体のうち、ターン形成しやすいと考えられる3種(D23G-Aβ42、D23Y-Aβ42、D23H-Aβ42)ならびに孤発性ADに認められるAβ42異性体3種(23isoAsp-Aβ42、23D-Asp-Aβ42、23D-isoAsp-Aβ42)を化学合成し、凝集能、神経細胞毒性およびラジカル産生能をそれぞれ調べた。 各種変異体の凝集能は遠沈法で、細胞毒性はPC12細胞を用いたMTT法で、ラジカル産生能は電子スピン共鳴法によって評価した。その結果、潜在的変異体3種のうち、D23Y-Aβ42およびD23H-Aβ42は野生型に比べて著しく高い凝集能を示し、E22Q-Aβ42およびE22K-Aβ42と同等であった。また典型的なフィブリル形成を電顕撮影でそれぞれ確認した。しかしながら、これらの変異体の細胞毒性とラジカル産生能はいずれも野生型と同等あるいはそれ以下であった。この理由として、毒性本体であるオリゴマー凝集中間体の産生量が少ない可能性が考えられる。また孤発性ADに見られる3種のAβ42異性体の各種活性はいずれも野生型を上回るものではなかった。以上より、Asp-23における異性化およびラセミ化は本疾患の主な原因である可能性は低く、発症の結果としての化学修飾であることが示唆された。
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