研究課題
特別研究員奨励費
マイクロチップの生産向上を念頭に分離システムの再構築を行った。チップ素材には塑造できるPoly dimethyl siloxane(PDMS)を採用した。また、キャリア溶液によって試料溶液を挟み込んでシースフローとし、試料溶液を廃棄側分岐のみに流し込めるようにした。これにより、蛍光粒子が検出されない間は、赤外レーザーで局所加熱すること無しに試料溶液を廃棄できるようになった。一方、蛍光粒子が検出された場合は、瞬間的な加熱を廃棄側分岐に与え、試料溶液の流れを一時的に回収側分岐に向かせることで、蛍光粒子の分離を実現した。直径1μm以下の蛍光ビーズを試料として分離を行ったところ、検出分離の1サイクルにかかる時間を約5msまで高速化することに成功した。さらに上記で構築した分離システムをもとに、システムの安定性、操作の容易さを目指し、送液チューブとチップとの接続部の高耐圧化、分離部以外の流路を太くすることによる従来よりも一桁低い背圧での送液を実現した。また、キャリア溶液と試料溶液の流量比を流路形状によって調整し、従来3つの独立したポンプを必要としていた送液を1つのポンプのみで制御可能とした。高感度化では、シースフローによる試料溶液の3方向からの囲い込みを実現し、試料溶液の流れる範囲を幅2.2Fm、高さ1.4μmにまで絞り込み、高開口数の対物レンズを用いた高感度検出を実現した。実際、試料溶液を流れる量子ドットの蛍光シグナルを明瞭に検出し、分離することができた。HeLa細胞のミトコンドリアをMito Tracker Green FM(Invitrogen)によって選択的に蛍光染色し、セルライセートから本システムによって検出・分離を行った。結果、ミトコンドリアの蛍光シグナルを明瞭に検出することが出来、検出したミトコンドリアのうち、92%程度を分離することに成功した。
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