配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
単子葉植物で最も特殊化の進んだイネ科植物のイネを材料に,その葉の向背軸の極性決定に関する遺伝的機構を解析し,以下のことが明らかになった. 1.双子葉植物で葉の向背軸決定を制御するHD-ZIPIIやKANADI相同遺伝子の機能は,イネでもある程度保存されており,葉の向背軸決定機構は被子植物の間で保存されている. 2.イネにおいても,向軸側と背軸側の境界領域が,葉の横方向への成長を促進する. 3.HD-ZIPIII遺伝子は,単子葉植物の進化過程で,REVOLUTAサブファミリーとPHABULOSAサブファミリーが,向軸側の異なる組織で機能するよう進化した. 4.YABBY遺伝子族の一つであるDL遺伝子は,イネの進化過程で,遺伝子発現およびタンパク質機能のレベルで,葉の中肋形成という新規機能を獲得した.また,この機能は,少なくともユリ類以降の単子葉植物で保存されている. 5.葉の変縁部の発生を制御するPRESSED FLOWER遺伝子は,単子葉植物の進化の過程で遺伝子重複し,それらの機能部位が植物依存的に多様化した. 6.AUXIN RESPONSE FACTOR 3遺伝子は,単子葉植物において,側生器官の背軸側で特異的に機能し,葉の裏側決定を制御する. 7.イネにおけるRTFL遺伝子群は,シロイヌナズナとの間で,そのタンパク質機能が保存されている. 本研究により得られた成果は,単子葉植物の葉の極性決定機構解明の基本となる物であり,これらの結果を発展させた,葉の発生進化学的研究を展開中である.
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