研究概要 |
高精度高分解能位相シフト電子線ホログラフィを用いて,化合物半導体デバイス中の不純物分布の観察に成功した.従来のp-n接合のポテンシャル差だけでなく,n型領域内での不純物分布の差(n+とn-の差)も,高精度に検出することができた. カーボンナノチューブ内にコバルト磁性材料を充填させたサンプル周辺の磁場を,電子線ホログラフィで観察することに成功した.内包させたコバルトナノロッドの直径は約80nmで,fccの単結晶であることがわかった.また,電子線ホログラフィにより測定された位相変化と計算機シミュレーションによる比較から,飽和磁化は1.2Tであることがわかった.また,カーボンナノチューブ内に内包させたα鉄ナノロッドについても同様な計測を行ない,飽和磁化を測定した. 直径8nmのコバルトナノ粒子をカーボン膜上に自己組織化させた材料の電子線ホログラフィ観察を行い,超強磁性ドメイン構造を初めて直視することに成功した.この材料は,膜全体にわたりナノ粒子が一層だけ規則正しく配列されており,将来の高密度磁気記録材料として期待されている.また,磁性物理学的にも超強磁性が出現する材料として興味が持たれている.この材料を-150度まで冷却し,電子線ホログラフィで観察した結果,十数ミクロンにわたる大きな超強磁性ドメイン構造をとることがわかった.また,電子顕微鏡内でこの材料に磁場を印加することによって,そのドメイン構造が変化することもわかった. 微粒子線装置により,直径6nmのコバルトナノ粒子をランダムに堆積させた材料の電子線ホログラフィ観察を行った.各粒子の表面は1nm程度酸化してあるが,この酸化コバルトの層を介して各粒子の磁性のカップリングが行われ,数十ミクロンの超強磁性ドメインが形成されることがわかった. 高精度高分解能電子線ホログラフィを用いて,高分解能原子構造像に含まれる電子顕微鏡の収差を高精度に補正することに成功した.
|