研究概要 |
近藤半導体CeRhAsはT_1=360,T_2=235,T_3=165Kで超格子形成を伴う逐次構造相転移を起こし,T_1とT_3以下でそれぞれ,E_<g1>/k_B=2200KとE_<g2>/k_B=310Kの大きさの2つのギャップを形成する。これらの関係を調べるためにCe_<1-x>La_xRhAsを作製し,磁性と伝導を調べた。 Ce_<1-x>La_xRhAsのT_1はx=0.10で297Kまで減少したが,T_1での比熱のジャンプや磁化率の減少,また,T_1以下でのホール係数の熱活性的な振る舞いは確認された。これらの観測は,x=0.10の置換においても,T_1での転移とE_<g1>の大きさのギャップの両方が残っていることを示している。一方,x=0の比熱や磁化率におけるT_2とT_3での転移に伴う異常は,僅かx=0.01の置換で消失した。さらに,T_3以下での電気抵抗率や熱電能の半導体的な増大も,x=0.02で消失した。これらの事実は,La置換によってT_3での転移が消えたと同時に,小さいギャップE_<g2>が消失することを示している。 CeRhAs_<1-y>Sb_yにおいてはT_1,T_2,T_3での転移全てが,僅かy=0.025のSb置換で消失することがわかっている。このCe_<1-x>La_xRhAsとCeRhAs_<1-y>Sb_yにおけるT_1の臨界濃度の違いは,T_1での転移とT_1以下で形成されるギャップE_<g1>においてRh4dとAs4pとのコヒーレントな混成が重要であることを示している。さらに,T_2とT_3での転移とギャップE_<g2>はLa置換とSb置換の両方に対して敏感であることから,小さいギャップE_<g2>にはCe副格子とRh-As副格子の両方のコヒーレンスが必要不可欠であることを明らかにした。
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