研究課題
特別研究員奨励費
中国の北京市で、中国科学院大気物理研究所と共同で、係留気球を使った都市大気の観測を行った。係留気球に、エアロゾルサンプラーをはじめ、ダストカウンター、レーウィンゾンデなどを吊り下げ、地上数メートルから上空およそ1000メートルまでの領域を観測した。中国大陸の沿岸部の大都市は多かれ少なかれ中国大陸の観測地帯から流出する砂塵を多く含んでいるため、都市の大気中にさまざまなタイプの「黄砂粒子と大気汚染物質との間で生じると考えられる変質過程」を観察するのに都合が良い。このような観点から観測の結果を解析し、鉱物種によって汚染大気ガスを吸収する能力がどのように異なるのか、その能力が湿度によってどのように影響されるのかなどについて、実証的な知見を得ることが出来た。これらの知見は、現在極めて限られているものであり、しかも室内実験から得られたものがほとんどである。このため、この野外観測から得られた結果は大変興味あるものと考えられる。また、地表付近からわずか1キロメートル高度の間においても、エアロゾルの分布状態が高度によって大きく変化し、しかも多層構造をなしていることがわかった。大気が力学的に安定な状態にある場合には(係留気球を上げることができるのは概してそのような大気条件の時である)起源や性質の異なる厚さ数10メートルから数100メートルの大気層が何重にも重なって存在していることを示しており、従来のような単純な(例えば、設置境界層内はほぼ似たような大気質であるとするような)取り扱いは、大気化学過程を取り扱う場合には十分注意する必要があることを示している。インドのムンバイ市で2005年12月に開催されたアジアエアロゾル会議、2005年8月に中国の内モンゴル、フフホト市で実施された第3回砂塵嵐及び降塵に関する国際ワークショップ、および金沢大学21COEが主催した2006年3月の国際シンポジューム、などにおいて観測結果の解析・吟味の進捗に合わせて観測結果を発表した。また、一部は学術誌にも公表した。
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