研究概要 |
1.緒言 低分子ゲルは、非平衡系で形成される分子集合体である。本研究ではこの点に着目し、分子集合体の特性をチューニングすることを試みた。また、得られた機能性分子集合体を無機物(シリカゲル等)、あるいは高分子(ポリスチレン等)と複合化することにより、超分子材料への展開を試みた。 2.実験および結果 (1)フェナントロリンを基体とした低分子ゲル中において、フェナントロリンからプロトン化フェナントロリンへのエネルギー移動が起こることを既に明らかにしている。この分子集合体に対してゾルゲル転写法を適用することによって、有機無機複合体を得ることに成功した。非常に興味深いことに、無機物と複合化することによって分子集合体が安定化された(J.Mater.Chem.,15,2747(2005))。 (2)ペリレンを期待とした超分子集合体をポリスチレンのマトリックス中に安定に担持することに成功した。得られたフィルムを剪断することによって、超分子集合体の機能性に異方性を付与することが可能であった。 3.総括 本研究では、機能性分子を基体とした低分子ゲル化剤を設計し、分子集合体中において特異な光化学特性が発現されることを明らかにした。また、これを機能性材料として展開するために、高分子や無機物などと複合化する方法を開拓した。
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