研究課題/領域番号 |
04J06914
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
市田 智子 (下村 智子) 大妻女子大学, 社会情報学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | カナダ / ヌナブト準州 / イヌイット / 教育政策 / 先住民 / アイデンティティ |
研究概要 |
本年度は、前年度から引き続きカリキュラムの分析を進め、ヌナブト準州の教育政策における「ヌナブト準州民」という用語の検討ならびにカリキュラム上の位置づけ、そしてその涵養について検討した。 「ヌナブト準州民(Nunavummiut)」という用語は、ヌナブト準州発足以前より、その準州に居住する人々を総じて称した用語として政策文書や準州議会の発言においても頻繁に使用されてきた。これは、諸政策文書や議会議事録などを詳細に検討した結果、その準州に居住する人々を総じて称した用語という以上の定義が明確になされてはいないことが明らかになった。しかし、これは、決してナショナリズムを標榜したものではなく、イヌイットをその住民の大半としながらも、都市部においては多くの非先住民が居住していること、そして、非常に広い土地にコミュニティが散在しているという準州の地理的現実からも、準州内の人々の団結を高めることを特徴づける用語と捉えることができよう。 前年度までに明らかにしてきたように、新教育課程草案において示された「ヌナブト準州民」が身に付けるべき資質・能力・態度として達成されるべき「コンピテンシー」(到達目標)として示されている内容は、イヌイットの文化や価値に基づいた「イヌイットらしさ」を非常に重視した内容となっている。このように、非先住民の価値や文化については配慮が見られなかったこと、また、新教育課程草案の構造そのものについても、イヌイットの文化や価値を基盤として構成されており、それによって「イヌイットのための教育」の達成が目指されている。このことから、「ヌナブト準州民」という用語は、定義上では、非先住民に対する配慮がなされ、社会的団結を促す用語と捉えられる一方、その内実は、イヌイットの文化や価値を中心としたものになっていることが明らかになった。
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