研究概要 |
ユビキタス・コンピューティングの実現には,小型・小電力のコンピュータやセンサーを実現する技術的な要素に加えて,人々がどのようにコンピュータと関わり,恩恵をうけるのかというHCI(Human Computer Interaction)の役割が重要となる. 本研究では,従来のGUI(Graphical User Interface)をユビキタス・コンピューティング環境に適用する際の課題について整理し,ユビキタス・インタフェースのコンセプトとして,「直接性」,「自然さ」,「周辺性」,「透明性」の四つを提案する. 次に,具体的なアプローチとして,ユビキタス・コンピューティングの主要な領域である「情報家電制御」,「日用品の拡張」,「位置依存情報サービス」に焦点を当てて,「Ubi-Finger」,「MouseField」,「ActiveBelt」という三つの新しいユーザ・インタフェースを提案する. Ubi-Fingerは,情報家電機器制御に適したジェスチャ入力デバイスである.ユーザはUbi-Fingerを用いて,実世界のさまざまな機器をシンプルなジェスチャで直感的に操作することができる.MouseFieldは,IDリーダーと動きセンサーを統合することで,IDベースシステムを実用的なユビキタス・インタフェースへと拡張するアプローチである.ユーザは,RFIDタグを添付した日用品などをMouseFieldデバイスの上に「置いて」,「動かす」というシンプルな行為で,さまざまな操作を行うことができる.ActiveBeltは,モバイル環境において,方位情報を含む多ビットの触覚情報提示を実現するベルト型ウェアラブル・インタフェースである.ActiveBeltを利用すれば,ユーザは振動を「感じるままに歩く」ことで,目的地へと向かっていくことができる. さらに,ユビキタス・インタフェースの特徴や課題を整理し,今後のユビキタス・インタフェースの展望を示す.
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