研究概要 |
Ti(acac)Cl_3を精密集積したDPAデンドリマー錯体を基板上で熱分解、加水分解することで、それぞれアナターゼ型、ルチル型の1nm酸化チタンが生成することを確認した。 TEM、 AFM測定によりDPAデンドリマーへ集積させたTi金属の数に応じて、粒子サイズを1.0,1.2,1.7nmで分散が0.2nmとサブナノレベルのコントロールに成功した。バンドギャップはサイズが小さくなるにつれて、ブルーシフトすることを発見した。これらサイズとバンドギャップの関係はBrusの式に一致した。合成法によるバンドギャップの異なることは、1nmの酸化チタン粒子中にも結晶系の違いが存在することを示唆している。従来、1nm粒子の厳密なサイズコントロールは困難であり、酸化チタン粒子の量子サイズ効果を明確に確認できたのは世界初の成果である。 これまでに、π共役デンドリマーを用いた世界初の色素増感太陽電池を報告している。TPA-DPAデンドリマーのほかに高いホール輸送特性を有するCz-CPAデンドリマーと、 TPA-DPAデンドリマーの構成部分となるHalf-DPAデンドリマーを用いた色素増感太陽電池を検討した。高いLUMOを有するCz-CPAデンドリマーは逆電子移動抑制効果の期待されるものの、電子アクセプターとなるI_3^-の配位挙動を示さないため、エネルギー変換効率の向上に寄与しなかった。TPA-DPAデンドリマーと同等のI_3^-との配位挙動を示すものの、半径の小さなHalf-DPAデンドリマーを用いた色素増感太陽電池はエネルギー変換効率の向上に寄与するもののTPA-DPAデンドリマーには及ばなかった。すなわち、 Half-DPAデンドリマーを構成部分として組み上げたTPA-DPAデンドリマーのような大きな構造体にすることで、更なるエネルギー変換効率の向上が見込めると考えられる。
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