研究課題/領域番号 |
04J07828
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生物系薬学
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤田 亮介 長崎大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手
|
研究期間 (年度) |
2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | ネクローシス / アポトーシス / 細胞死モードスイッチ / 網膜虚血 / 脳虚血 / 神経栄養因子 / Bcl-2ファミリータンパク質 / プロテインキナーゼC |
研究概要 |
申請者はこれまでの検討で、初代培養大脳皮質細胞の低密度無血清培養で引き起こされるネクローシスが、高密度培養上清の添加によってアポトーシスに変換される事を見出し、この活性本体がNDIと名付けた一分子によって引き起こされている事を明らかにしてきた。NDIはプロテインキナーゼCの活性化を介して、虚血ストレスを受けた細胞で減少しているグルコースの取り込みを上昇する事でネクローシスを抑制する一方で、Bcl-2ファミリータンパク質のBax、Bimの発現を誘導してミトコンドリアからのアポトーシス誘導を積極的に引き起こしている。この系についてもプロテインキナーゼCの活性化が必要である事を阻害剤並びに、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた検討から明らかになった。この様な分子機構を有するNDIは生体内において傷害の保護に働いている事がマウス網膜虚血モデルに対して、NDIのアンチセンスオリゴヌクレオチド処置した事で傷害がより悪化した事から明らかになった。NDIの持つネクローシスからアポトーシスへの細胞死モードスイッチは、脳卒中時に見られる虚血中心部でのネクローシスによる周辺領域に傷害を拡大が、傷害された周辺領域においてアポトーシスにスイッチされ、その外側の領域への傷害の拡大しない生体保護機構を模していると考えられる。実際、マウス網膜虚血モデルにおいて引き起こされる神経傷害はNDIの硝子体内投与あるいは全身投与によってほぼ完全に抑制される事が示された。さらにマウス総頸動脈結紮による脳虚血モデルにおいてもNDIの投与は虚血によって引き起こされるネクローシスをほぼ完全に抑制した。驚いた事に、in vivoでの検討ではネクローシス抑制は認められるものの、アポトーシスの誘導は認められなかった。NDIはin vivoにおいて神経細胞あるいは非神経細胞に作用してアポトーシスの抑制に働く神経栄養因子の発現を上昇させる作用を有している事が明らかとなり、その結果、NDIの投与ではネクローシスとアポトーシスの両方の細胞死が抑制され、虚血による傷害が完全に抑制された。
|