研究課題/領域番号 |
04J07903
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
美学・美術史
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山田 高誌 大阪大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | オペラ史 / 劇場史 / 経済史 / イタリア / 楽譜校訂 / 喜劇 / 18世紀 / ナポリ楽派 / イタリア・オペラ / 史料研究 / 喜劇オペラ |
研究概要 |
本年度は、東京、およびイタリア・ナポリにおいて在外研究を行った。 具体的には、前年度より行ってきたナポリ銀行文書館における1770年代、そして90年代の民間劇場支配人の銀行取引記録の調査、ナポリ音楽院付属図書館、および東京・国立音楽大学において対象とする同期の喜劇オペラ楽譜の調査である。 上記の調査において、国立音楽大学コレクションにおいて発見したチマローザ作曲《秘密の結婚》(1792、ウィーン初演)楽譜を、これまで消失したと考えられてきた1793年のナポリ初演版楽譜であることを同定することができた。そして、そこに含まれる知られざる2曲の差し替えアリアのうち1曲は、現時点における世界唯一の現存例となっている。 さらに山田は、この1793年のナポリ上演時の興行師をG.コレッタであると特定しながら、ナポリ銀行歴史文書館において、コレッタの銀行口座の調査を行うことで、国立音楽大学に見つかったナポリ版楽譜を演奏した歌手、演奏家たちの名前すべてを明らかにした。 その結果、この差し替えアリアを歌った覆面歌手をテレーサ・ベルティノッティであると明らかにし、関係者の待遇(賃金)をも明らかにしたが、さらにこの数値を、筆者が前年度までに完了していた1770年代の賃金水準と賃金水準と比較することにより、この20年の間、器楽奏者の賃金は一定であったのに対し、歌手の賃金は何と約8倍にも高められていたことを同定し、本研究テーマである"喜劇オペラ"の変容(高踏化)を、経済史の観点からも実証することに成功した。 以上の成果は、イタリア音楽学会SIdM第12回大会(ペーザロ音楽院)、バーリ音楽院で口頭発表されたほか、次ページに記すように内外の学術誌において発表され、高い評価を受けた。 またこの《秘密の結婚》ナポリ版は、山田の監修・校訂のもと、2007年2月に関西二期会により尼崎において復活初演されることが決定した。
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