光で直接磁性を制御可能な物質を創製し、従来の熱書込み式光磁気メモリに代わる新しい光直接書込み式メモリへ応用することを目指して、以下の研究を推進した。 1、スピネル型フェライト薄膜における光誘起磁性の機構解明 スピネル型フェライト薄膜において観測される室温付近での光誘起磁性について、X線光電子分光(XPS)、磁気円二色性(MCD)測定を行い、その発現機構が、カチオン間の光誘起電子移動による局所的磁気異方性の変化であることを突き止めた。 2、ガーネット型フェライト薄膜を用いた巨大光磁性材料の創製 スピネル型フェライトにおける研究で得られた知見を積極的に利用して物質設計を行い、ガーネット型フェライト薄膜において、巨大磁気光学効果と室温光誘起磁性を同時発現する物質の作製に成功した。 3、自然超格子構造を利用した室温巨大光誘起磁性物質の探索 スピネル型フェライト薄膜における、非磁性/磁性の自然2相分離構造を利用して、薄膜内に、光伝導物質相と、磁性絶縁体相を共存させると、光照射により磁化が増加することを初めて見出した。これは、光伝導相に誘起されたキャリアと、磁性相のスピンとの相互作用により誘起されたものと考えられる。
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