研究課題
特別研究員奨励費
本年度は、明治期における刑事司法の変容過程の研究をとおして、刑事司法をめぐる観衆の社会的機能について考察し、論文および報告書のペーパーとして発表した。併せて、関連する文書・文献の収集も行った。また、比較研究として、戦後の日本における少年非行に関する著書の書評を執筆した。論文およびペーパーの具体的な内容は以下のとおりである。「サンクションと観衆--明治初期における刑事裁判の公開過程を題材に」刑事法上のサンクションは、法執行者-法違反者-観衆の三者から構成される。本稿の目的は、明治初期における刑事裁判の公開過程を題材にしながら、刑事法上のサンクションをめぐる観衆の構造・機能を抽出し、観衆と法執行者・法違反者との関係について示唆を得ることである。刑事裁判の公開過程は、観衆の構造が、(1)法廷における傍聴者、(2)犯罪報道の送り手、(3)犯罪報道の受け手に分化する過程、あるいは観衆の機能が、(1)訴訟手続きの公正の保障、(2)司法制度の正当性の保障、(3)両者の媒介に分化する過程であった。また分化した観衆は、自分自身を言説レベルで被害者に変換する新たな機能を獲得したことも判明した。このように観衆は、一般予防の対象であるだけでなく、法の正当性の保障を期待されてもいる。"Criminal Justice and the Audience in the Meiji Period Japan"本報告は、19世紀後半の日本における刑事司法と観衆の変容を考察するものである。考察の結果、観衆の環境が公開刑から犯罪報道へと変化し、犯罪報道は読者を被害者の立場に引き寄せることで法の正当性を保障する社会装置であることが判明した。
すべて 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (7件) 図書 (1件)
ソシオロジ 51巻1号
ページ: 191-194
法社会学 65号
ページ: 22-23
130003571281
Challenges for Urban Cultural Studies (COE, Urban-Culture Research Center, Osaka City University)
ページ: 129-139
法律時報 78巻4号
ページ: 92-97
市大社会学 6号
ページ: 17-28
120006501005
法社会学 63号
ページ: 249-254
都市文化研究 5号(未定)
120006007004