研究概要 |
本研究は,澱粉・貯蔵タンパク質生合成における制御機構を,タンパク質翻訳後修飾および細胞内mRNA輸送レベルで解明することを目的とした. 1.澱粉生合成においては,昨年度の研究からインゲンマメstarch branching enzyme 2(PvSBE2)をプロセシングする酵素として,セリンプロテアーゼの一種であるsubtilase(PvSLP1)を同定した.今年度は本プロテアーゼcDNAのクローニングを行った.登熟種子から調製したcDNAライブラリーをスクリーニングし,PvSLP1をコードするcDNAを単離した.塩基配列の解析から,本cDNAは2414bpからなり,769アミノ酸残基のORFを含むことが明らかとなった.また予想されるアミノ酸配列は,ダイズ由来subtilaseと高い相同性を示した.精製酵素のN末端配列およびPvSLP1の推定アミノ酸配列から,2つの異なる翻訳開始点が予想された.現在,形質転換体タバコを用いた細胞内局在性の解析を試みている. 2.貯蔵タンパク質生合成においては,イネプロラミンmRNA輸送に関与すると考えられる,細胞骨格結合120kDaタンパク質(Rp120)と複合体分子を形成するタンパク質の同定を目的とした.昨年度の研究からtwo hybrid systemを用いたスクリーニングにより,glycine rich RNA binding protein, unknown proteinを候補タンパク質として見出した.今年度は,これら候補タンパク質をコードする遺伝子の単離および大腸菌発現系を構築し,得られた発現酵素を用いて抗体を作成した.今後は免疫沈降法等によってin vitroにおける結合活性を検討する予定である.
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