研究課題
特別研究員奨励費
ロッドエレメントの構造解明2:再構成クロロゾームを用いた解析高速レーザー分光によるクロロゾームの励起状態のメカニズムの解明高速レーザー分光による紅色光合成細菌のアンテナ装置の測定を含めた本研究の総括プロジェクトは極めて順調に進んだ。今年度の目標はほぼ達成出来たと考えている。昨年度に確立した「クロロゾームの再構成法」を用いて、^<13>C-BChlcのみおよび^<13>C-BChlcと^<12>C-BChlcを1:1に混合した再構成クロロゾームを調製し、それらの二次元DARRスペクトルを測定した。会合構造の決定には分子間情報が不可欠であるが、両者のスペクトルに観測された相関ピークの強度を比較すること(初年度の研究成果)により、その情報を選択的に得ることに成功した。その結果、ロッドエレメントにおけるBChlcの会合構造は、BChlcの人工会合体と基本的には同様の会合構造で、螺旋構造になったモデルを提出することが出来た。更にその構造は、二量体累積構造と単量体累積構造が共存した構造であった。二量体累積構造は筒の長軸方向に、単量体累積構造は螺旋の方向に存在している。それら方向で電子カップリングや電子雲の重なりが大きくなるので、それらに沿った励起の流れが存在すると予測される。一重項および三重項励起の効率的な伝達あるいは消滅反応を促進し得る構造であることが判った。また、紅色光合成細菌のアンテナ装置と光反応中心の時間分解吸収スペクトルを測定してクロロゾームと比較したところ、特異なクロロゾームの構造に基づいた効率的な励起状態のダイナミクスが存在することが分かった。クロロゾームは、微弱光の捕獲あるいは余剰のエネルギーの散逸等を効率的に行える構造であるといえる。今年度は3つの論文と4つの総説を発表することが出来た。昨年度の成果であるクロロゾームの再構成については、Biochemistryに受理された段階であることを申し添える。
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