研究課題/領域番号 |
04J09422
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
機能材料・デバイス
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
渡部 惣一 山形大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員 DC1
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 蛍光 / リン光 / 有機EL / 光学干渉 / 量子効率 / イリジウム / エレクトロルミネッセンス / ルーメン / 光束 / 長寿命 / ドーピング / りん光 / 化学ドーピング / 外部量子効率 / パワー変換効率 |
研究概要 |
蛍光材料(一重項励起状態)を使用した従来の有機EL素子の外部量子効率(光子と注入キャリアの割合)は、5%が限界とされていたが、近年、Iridium錯体やPlatinum錯体などの重原子を有するリン光材料(三重項励起状態)を用いることにより、その効率は3〜4倍と向上した(内部量子効率では、75〜100%)。これは理論上、キャリア再結合による励起子生成比率が一重項:三重項=1:3であることによる。通常、リン光材料はゲスト材料としてキャリア輸送性のホスト材料に数mol%ドープされるが、高い効率を得るためには十分な三重項励起子の閉じ込めが必要である。つまり、使用するホスト材料は三重項エネルギーレベルがリン光材料より高いワイドギャップ材料であることが必要とされる。また、発光層界面におけるエネルギー移動を抑制するため、周辺材料(ホール輸送性材料、電子輸送性材料)の三重項エネルギーレベルの影響も考慮する必要がある。さらに、電極界面のキャリア注入障壁を低減し、および有機薄膜の極薄膜化を行うことによる低電圧駆動化が可能であり、これによる低出力における高い全光束値の実現、いわゆるパワー変換効率のさらなる向上が可能となる。さらに有機EL素子においては、効率を左右する大きな要因として、膜厚構成の設計が重要となる。素子の膜厚構成によって変化する素子特性は、主に電気特性と光学特性が挙げられる。特に後者の光学特性は、光の干渉効果など、素子の効率を2倍近く大きく変化させる要因となる。しかしながら、これまで有機EL素子において膜厚の変化による電気的影響と光学的影響について分離することが極めて困難とされ、結果および議論に多くの不確定性が存在していた。本研究では、この課題に対して低抵抗を有する「化学ドーピング層」の使用により検討を行った。具体的には、光学干渉効果におけるシミュレーション構築、膜厚依存性の極めて小さい有機EL素子の構造構築、精密な効率評価:全光束測定系の構築、光学干渉効果最適化(例えば、高反射電極の採用など)などを系統的に行った。その結果、最も高い効率で緑発光素子において100cd/m2時(駆動電圧:3.05V)においてパワー変換効率971m/W、外部量子効率27.0%、1000cd/m2時(3.42V)において26%、851m/Wという優れた特性が得られている(配光分布測定による精密評価、エラーバーは5%以内)。また、これら研究で使用した光学シミュレーションや(配光分布)精密測定などのシステムは独自に構築したものである。これら得られた値は、これまで報告されている値の中で最も高く、他の無機デバイスを圧倒する値である。本研究のアプローチ、得られた知見はこれまでこのような切り口での研究例が無く、新しい切り口と言える。高効率有機EL素子の構築に必要なデザインルールを構築できたといえる。
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