研究概要 |
一年目は,児童の不安症状の改善のための,認知の変容プログラムを開発し,実施することを目的とした.まず,4〜7月の間に文献収集等を行い,プログラムの作成を行った.これらは,Kendall(1994)やLowry-Webster et al. (2001)といった先行研究で効果が認められている介入プログラムを参考に作成された.本邦においては,児童の不安症状の改善をターゲットした介入プログラムは存在しないことから,プログラム作成にあたり,World Congress of Behavioral and Cognitive Therapies,11th Congress of the Asian College of Psychosomatic Medicine,38th Annual Convention of the Association for Advancement of Behavior Therapyに参加し,プログラム作成の資料に関する知見を得た.その後,10月より,プログラムを作成した.プログラムは全8回構成となっており,認知の変容を目指した認知行動療法プログラムとなっている.完成したプログラムについて,児童の臨床に携わる臨床心理士にチェックしてもらい,修正点,改善点について議論した.さらに,プログラムのパイロットスタディを実施した.対象者は不安症状を示す児童であり,プログラム実施の結果,認知の変容と不安症状の改善が認められ,認知の変容が不安症状の改善に先行して起こることが示された.以上の結果から,認知の変容が不安症状の改善に影響する可能性が示めされた.
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