研究概要 |
昨年度の研究において,人間の反射・学習系の機能要素の整理に基づいて,「注意」・「反射」・「発達」の統合された行動システムモデルとして,並列監視・評価構造を提案し,ヒューマノイド実機を用いて,その有効性を確認するに至ったが,本年度は,その昨年度の成果を踏まえた応用展開を行ってきた.以下にその詳細を示す. ○より多様な行動における「注意」「反射」「発達」モデルの検証を可能にするための筋骨格ヒューマノイドロボットハードウェアの新規開発 ○新たな身体構造を持つロボットにおける並列監視・評価構造の応用展開 ○高次認知システムとの連携として,模倣行動システムとの連携 昨年度まで,主に用いてきた筋骨格ヒューマノイド腱太,腱次を改良し,更に,多様な行動における統合モデルの検証を行っていくために,新たに筋骨格ヒューマノイド小太郎を開発した.小太郎においては,それまでの柔軟脊椎構造や筋配置・構成可変性といった特徴に加えて,電装系まわりの安定度の向上,通信プロトコルにUSBを採用することによる通信系の安定性向上,鎖骨・肩甲骨構造を導入による,腕部自由度の冗長性増大,といった点に関して大幅に改良を加えた.そして,この新たに開発した小太郎において,筋の異常負荷を監視・評価する注意,反射機能など,これまで提案してきた並列監視評価構造による自律系の構成に関して実証実験を進めている.一方,他の高次認知システムとの連携による応用展開として,模倣行動システムとの連携を試してきている.模倣のように,それ自体の中に環境や人に対する能動的注意やそれに対する解釈・評価系と行動実行系を持つ高次認知システムにおいても,実世界の中で,確実に目標とする行動を行っていく上で,自らの身体性に強く根ざした自律系システムが常に行動修正を行うように高次認知システムのバックグラウンドで走っていることは大変有効であることを確認した.
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