研究課題/領域番号 |
04J10953
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
林産科学・木質工学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福田 聖 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 紙 / セルロース / 生物材料 / フッ素化合物 / 撥水性(はっ水性) / 撥油性(はつ油性) / 表面改質 / 濡れ |
研究概要 |
本研究は、フッ素系化合物を代表的なセルロース系材料である紙に適切な手法で添加することで、紙に撥水性と撥油性を同時に且つ効率良く付与する表面改質処理技術を確立すると共に、フッ素系化合物を添加したセルロース系材料上で撥水・撥油性が発現する機構を解明する事を主な目的として遂行された。 まず水溶性フッ素系化合物としてDPFP(diperfluoroalkylethyl phosphate)をカチオン性定着剤と共に添加したパルプ懸濁液からDPFP添加紙を調製し、撥水・撥油度、紙中DPFP定着量及び紙表面上のフッ素成分の分散・凝集状態をそれぞれ測定・分析した。 カチオン性定着剤としてPAE(polyamideamine-epichlorohydrin resin)を使用すると、DPFP添加紙は加熱処理を通して撥水度が大幅に向上した。これは、加熱処理によりPAE〜DPFP間で化学反応が進行し、両者間の親水的なイオン結合の一部がリン酸エステル結合に変換して両者間の親水効果が減少したためであることが明らかになった。その一方で、PAEとは反応できない非水溶性フッ素系化合物TPFP(triperfluoro-alkylethyl phosphate)を含浸処理で紙に添加した場合でも、予め紙にPAEを添加しておくと紙の撥水度が大きく向上した。これは、PAEが紙の湿潤紙力を増強したことが相乗効果として撥水度向上にも繋がった可能性が高い。即ち、PAEによるフッ素系化合物添加紙の撥水性向上機構には、異なる複数の理論が絡んでいるものと考えられる。 この様に、フッ素系化合物添加紙の撥水度は試料作製条件によって大きく変動したが、撥油度はフッ素系化合物の定着量や紙表面上での分散状態に概ね支配された。このことから、フッ素系化合物添加紙の撥水及び撥油効果は、互いに異なる機構に基づいて発現するものであることが判明した。
|