研究概要 |
前年までに行ったNonsense mediated mRNA decay (MD)によって分解されている遺伝子(NMD標的遺伝子)の予測とAtUPF3遺伝子のNMDへの関与の結果をまとめ、Plant Journalへの報告を行った。その結果をふまえNMDに関与することが期待されるAtUPF1,AtUPF2とAtUPF3遺伝子の相互作用の解析を、免疫沈降実験によって行った。その結果大腸菌で発現した部分長AtUPF1とAtUPF2はそれぞれ、植物体で発現したAtUPF3と相互作用していることが確認でき、AtUPF1,AtUPF2,AtUPF3は複合体を形成していることが示唆された。次に、AtUPF3と緑色蛍光タンパク質の融合タンパク質の細胞内局在を解析した結果、AtUPF3は核小体および細胞質全般と細胞質に顆粒状の構造として局在していることを明らかにした。さらに3種類のAtUPF3の部分欠失体を作成し、同様に細胞内局在の解析を行った結果、AtUPF3のC末端側2/3が核小体への局在に強く関連していることを示した。またAtUPF3として機能しないことが予測される部分欠失体では全て細胞質の顆粒状の局在が観察されなかったことから、この細胞質における顆粒状構造はNMDにおいて重要な働きをしていることが示唆された。この顆粒状構造はサイクロヘキシミドによってタンパク質翻訳を停止しNMDを阻害すると、すみやかに消失することを発見した。よってこの顆粒状構造はNMDにおけるRNA分解の場であることが期待される。
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