研究課題/領域番号 |
04J11179
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
住岡 暁夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / 転写 / βアミロイド / 核移行 / キナーゼ |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)は、最も患者数の多い老人性痴呆症であるが、その発症メカニズムは未解明な点が多い。βアミロイド(Aβ)はADの発症に関わる分子と考えられているが、Aβの前駆体蛋白質として同定された分子であるAPPの機能もまた、未解明な点が多い。近年の知見では、APPの機能として、代謝過程で細胞内に放出される細胞質ドメイン(AICD)が、核内で転写を制御するのではないかと報告されている。AICD、APPの機能を明らかにすることは、AD発症メカニズムを理解する上で重要な知見となりうる。 X11 familyは、Phopho-Tyrosine Interaction (PI)ドメインと二つのPDZドメインを有するアダプター分子で、ヒトではX11、X11L、X11L2で構成される。これまでに、X11 familyは生体内でAPPの細胞質ドメインと結合し複合体を形成し、また細胞を使った実験でAPPの代謝、Aβ産生を制御することが明らかになっている。X11 familyは従来細胞質蛋白であると考えられ、核内での機能は全く解析されなかったが、我々はAICD結合分子の核移行性を網羅的に検証し、その結果、X11 familyの機能として核・細胞質間のシャトリング機能を明らかにした。 昨年度、私はX11 familyの一つX11L2に注目し解析を行った。その結果、生化学的分画によりX11L2が生体内では核に局在すること、分子・細胞生物学的手法により核移行・核排出を担うX11L2中の配列を明らかにした。またGal4 DNA結合ドメインをX11L2に融合させたcDNAコンストラクトを用いた実験から、X11L2が転写活性化能を有することも明らかにした。さらにkinaseへの反応性の検討から、この転写活性がMAP kinaseの制御を受けることを明らかにし、X11L2に結合する転写因子を同定することに成功した。 そこで今年度は、X11L2の転写調節の機能に注目し解析を進めた。内在性X11L2をRNAiでノックダウンした細胞を作製し、転写制御を受ける遺伝子の同定に成功した。さらに、Gal4 DNA結合ドメインを融合させたAICDとX11L2複合体が転写活性を示すことを明らかにし、X11L2によって転写制御を受ける遺伝子の一部はAICDによっても転写制御を受けることを明らかにした。また、X11L2でおこなった解析を元に、X11Lについても核内機能の解析を進めた。X11L2では転写因子がN末端側領域に結合していたことから、X11Lのこの領域に相当する配列をbaitに結合分子をyeast twohybrid screeningによって探索を行った。その結果、結合分子としてGlucocorticoid Receptorを含む複数の核内受容体の単離に成功した。
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