研究課題/領域番号 |
04J11238
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 智子 東京大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 公教育 / 公法 / 権利 / 公共性 / 教育法 / 市民社会 / 社会教育行政 / 学級・講座 |
研究概要 |
近代公教育制度が公法・私法の二元論的な法形式観念に基づいた解釈によって形成されてきたことを示し、しかし今後の実定法体系としての教育法は、二元論的な公法と私法の区別を前提とした法原理に拠らない公教育の枠組みを構成するものであるべきだということを提示した。公法・私法の二元論的な理解に基づいて公教育を見るならば、そこでは国家と国民の二項的な関係においてしか「公」を概念化できない。こうして近代公教育制度は、国家が関与するという意味での「公」教育として発展してきた。しかし公教育の実態は、子どもを取り巻く大人相互の私法上の関係や事実行為による関係など、多くの複雑な私法・非法関係に支えられている。ゆえに、公教育の現状を理解し、あるいは今後の公教育のあり方を探究するためには、公法・私法の枠組みに依拠しない「公共」を法概念として構想する必要がある。この新たな「公共」は、公法の枠組みに拘束されないゆえに、必ずしも憲法や教育基本法に根拠を持たなくても、住民自治あるいは私的自治の原則のもとで「公共」を観念することが可能となる。個人の権利を単位としながら、そこに導出される法原理・規範として「公共」を概念化することで、公教育は、アプリオリに「公」教育であった近代公教育観から脱却し、「公共」を根拠とした教育、「公共」のための教育へと向かうことになる。公教育に関わる私法関係を実証するためのモデルとして、複数の事例を調査した。公法上の関係は公教育において当然に重要となるが、実際の教育現場においては、社会と学校が有効に連携し、協働して子どもの教育を行っていくために、教師と親権者と住民との間の私法上の関係が重要であることが確かめられた。そして、そのような人のネットワーク形成を法的に保障していくためには、現行の公法としての教育法原理を見直し、新たな公私観念と法原理の探究を必要とすることが明らかになった。
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