研究分担者 |
大木 操 埼玉県立がんセンター研究所, 部長 (00158792)
中村 祐輔 癌研究会, 癌研究所, 部長 (70217909)
吉田 光昭 東京大学, 医科学研究所, 教授 (80012607)
吉川 寛 大阪大学, 医学部, 教授 (70019876)
榊 佳之 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10112327)
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研究概要 |
生命の設計図であるゲノムの構造と機能を解析研究しそこに包含される遺伝情報を理解する。この目的で、総括班ならびに3つの研究班を組織して研究の推進を図り次の成果を得た。 1.総括班。全体としての活動を円滑に進めるため各種会合の企画立案調整、機器の計画的購入と配分、情報交流、調査などを積極的に進めた。また、社会との接点の問題研究の展開を図った。さらに、評価委員会を設置して全班員の業績評価を行い、その結果に基き平成5年度に向けて班員の入れ替えを行い、先鋭的なゲノム研究の活性化を図った。 2.ヒト・ゲノム構造解析班。ヒト染色体21番につき物理地図を作製したほか、国際協力によるYACコンティグマップ作りに貢献した。また、染色体3,6,8,11,X,Yにつき高密度のコスミドマップ作製を進めた。これらの成果は、ゲノムデータベース作成において1991年度に引き続き、国際的成果の約半分近くを占める貢献である。これと並んで、特定領域として免疫グロブリン遺伝子H鎖V領域とHLA遺伝子群を選び、詳細なマップ作りと遺伝子の同定を実行した。これは、来るべきシーケンシング時代のモデルとなる先導的研究である。 これまで2年間の研究作業を通して大量の資料を扱いつつそれらを処理、分析し、データ化して整理する方法論の開発と実行が軌道に乗った。 3.cDNA解析班。ヒトの各種臓器や細胞の中で発現している全遺伝子をカタログ化し、その発現頻度を解析し情報化する「3'特異的cDNAライブラリー解析」を進め、約13000クローンの解析を終えた。これは、世界に先駆けてゲノム研究を構造解析と機能解析の両面から行おうという新しい方向性を与えるものであり、追随する仕事が多く現われた。本年度を以て良質なcDNAライブラリーの作成やその迅速な分類、カタログ化の手法がほぼ完成した。また、大容量のデータ整理などにおける新しい手法が種々開発されると共に、5'特異的cDNAライブラリーの作成や、cDNAの全長解析などを可能にするいろいろな技術開発が行われた。 4.DNA解析技術開発班。DNAの取り扱い技術とマーカーDNAの染色体上へのマッピングに関わる技術開発を進めた。特に、多色プローブを用いる染色体上への位置決め技術に大幅な進歩を見た。また、ゲノムスキャンニング法の確立と応用、T3ファージによるDNA欠失セットの作成技術、BUDRを用いる染色体の分染とin situハイブリッド法の組み合わせ技術の確立など、本班の成果を問う業績が次々と出された。これと並んで、枯草菌、分裂酵母、線虫をモデル生物として選び、国際協力によってゲノムデータベースを作りつつ技術開発とデータベース間の相互連携をつくるシステム作りが長足の進歩を遂げた。全体として、近々に具体的にシーケンスとマッピング作業の成果が出始める時代が近づいたと思われる。
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