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「異文化共存」の可能性-アジア・太平洋圏における実態調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 05041010
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関大阪大学

研究代表者

青木 保  大阪大学, 人間科学部, 教授 (80062636)

研究分担者 WONG D  シンガポール東南アジア研究所, 助教授
YUSOFF M  マレーシア国民大学, 人類学科, 助教授
DISANAYAKA A  コロンボ大学, シンハラ学科, 助教授
BAILEN T.  フィリッピン国立大学, 人類学科, 助教授
WU D  中文大学, 人類学系, 教授
岡本 真佐子  大阪大学, 人間科学部, 助手 (40252564)
多和田 裕司  長崎大学, 教養部, 講師
梶原 景昭  大阪大学, 人間科学部, 助教授 (10116014)
中林 伸浩  金沢大学, 教養部, 教授 (30019848)
WONG Diana  Institute of Southeast Asian Studies, Associate Professor
YUSAFF Ismail  Universiti Kebangsaan Malaysia, Associate Professor
BAILEN Jerome  University of the Philippines System, Associate Professor
WU David Y.h.  The Chinese University of Hong Kong, Professor
土佐 昌樹  神田外語大学, 韓国語学科, 講師 (10237084)
佐伯 啓思  京都大学, 総合人間学部, 教授
猪木 武徳  大阪大学, 経済学部, 教授 (00107111)
研究期間 (年度) 1993 – 1994
研究課題ステータス 完了 (1994年度)
配分額 *注記
16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
1994年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1993年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
キーワード異文化共存 / 「異文化共存」政策 / 民族紛争 / 宗教政策 / 小数民自治 / 開発状況 / 技術移転 / 国際共同研究 / 政策理念 / 言語分布 / 宗教人口 / 民族誌的資料
研究概要

本年度は各国の首都および地方都市社会において、以下の二つの問題を中心に、さらに集中的な実態調査を行った。
1 国家レベルにおける「異文化共存」に関わる政策の理念と実際 (国内政策および対外政策)
2 「異文化共存」政策と関連する行政組織、民間団体等の組織・集団の実態
以上の点を中心に、各地で集中的参与調査を行うとともに、資料・文献調査を遂行した。本年度は如上の大きな課題を念頭に置いたうえで、
(1)国家の「異文化共存」政策の展開と変容
(2)首都および地方都市社会における「異文化共存」の実態と問題点
(3)宗教政策と「異文化共存」の関係
(4)開発状況と文化の問題
(5)技術のもつ越境性と文化の中の技術の問題
等の具体的な問題について、識者・関係者への集中的インタビューを行い、現地での参与調査を継続した。調査の結果明らかになった問題点をいくつか挙げると、(1)については、一方でより積極的な「異文化共存」の方向が強まっているものの、それに対し小数民の保護をめぐって多数派の側から逆差別とする批判が寄せられる点など、いかに調和のとれた全体政策をつくり出せるかが大きな課題となっている。また 政策策定を現実に実施し、実効をあげることには各国とも大きな困難を抱えていた。しかし、「異文化共存」が緊急かつ最重要の課題であるとする認識は各国においてきわめて強いものがあり、こうした点から、本調査研究に大きな関心が寄せられた。(2)に関しては、それぞれの都市社会がもつ歴史的、社会・文化的、政治・経済的な背景によって、「異文化共存」のあり方、政策の指向について違いがある。しかしながら都市社会に顕著な複合性の存在は、まず現実にみられる何らかの多様性の存在を通して「共存」の可能性を十分に展望させるものであった。今のところ、民族間の対立、宗教間の葛藤などが都市社会に起きてはいるが、それでも都市社会の枠組みの中で「共存」の実態がすこしずつ拡がっている。多様性を排除すること即都市社会の消滅とみる意識が共有され、社会の崩壊を招かぬように、限度はあるが最小限の共通空間・時間を都市に作り出す努力が各地で行われている。(3)の宗教的政策は本年度の調査対象国においていずれも大きな問題となっている。とくに社会変化が激しい状況のもとで、宗教は文化伝統保持の基本ととらえられる。他方、変化に取り残される階層を中心に宗教的アイデンティティを希求する運動が強まり、国家にとって難問をつきつける場合もある。こうした困難な状況のなかで、注目すべき点は、各宗教間の対話が途切れていないところにある。国家中央の政策が対話と協調を積極的に推進するに至っていない場合でも、都市レベルでそうした志向が見られることは注目してよい。(4)文化間の葛藤が今もっとも激しく噴出するのが開発の問題といってよい。この点については各国とも政策上、不十分ではあるが、文化の問題について配慮を行わざるをえないとの認識がある。この点は、投資を行う側や経済援助をする側に、そうした認識が意外に欠けていることと対照をなしている。(5)技術移転、あるいは多様な民族構成による工場運営など技術の問題は工業化を進める各国で、重要な意味をもっている。この点について今回初めて基礎的な資料を得ることができた。
本研究テーマに対して、諸外国の研究協力者をはじめとして、幅広い関心が寄せられたこと、その理由として「異文化共存」が学術研究テーマとして、また社会的な関心として現代世界における重要な問題であることをあらためて認識させられた。こうした全面的協力を得て、実地調査は順調に推移した。今年度の成果としては、(1)研究課題についての理論的な比較研究が深まったこと(2)「異文化共存」が現在もっともダイナミックに現れる具体的状況および場に関する実態研究が進展したこと(3)この重要かつ緊急の課題について、これまでの国際共同研究をふまえ、今後さらに共同研究を継続する計画が熟しつつあることをあげておく。なお今年度の研究成果については、研究分担者が個別に大学紀要等に発表を始めており、近刊予定となっている。また最終年度の報告書が今年度末に刊行される。

報告書

(2件)
  • 1994 研究成果報告書概要
  • 1993 実績報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (14件)

  • [文献書誌] 青木 保: "コロンボの憂鬱" へるめす. 54. 168-182 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 青木 保: "Attempts on Writing Japanese Culture" The Japan Foundation Newsletter. Vol.XXII No.3. 1-6 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 梶原景昭: "「山下財宝」の行方" 大阪大学 年報人間科学. 16. (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 梶原景昭: "植民地都市と異文化共存" 平成6年度科学研究助成金 国際学術研究 研究成果報告書. (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 中林伸浩: "サンボアンガ市における異文化共存" 平成6年度科学研究助成金 国際学術研究 研究成果報告書. (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 多和田祐司: "現代マレーシアにおける異文化共存の実態" 平成6年度 科学研究助成金 国際学術研究 研究成果報告書. (1995)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Tamotsu Aoki: "Melancholy in Colombo" Hermes. 54. 168-182 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Tamotsu Aoki: "Attempts on Writing Japanese Culture" The Japan Foundation Newsletter. XXII. 1-6 (1994)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kageaki Kajiwara: "A Note on "Yamashita Treasure Tales"." Annals of Human Sciences. 16. (1995)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kageaki Kajiwara: "Colonial City and Multi-cultural Co-existence" Report of Research Project, Grant-In-Aid For Scientific Research(1994). (1995)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Nobuhiro Nakabayashi: "Multi-cultural Co-existence in Zamboanga" Report of Research Project, Grant-In-Aid For Scientific Research(1994). (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Hiroshi Tawada: "Multi-cultural Co-existence in Modern Malaysia" Report of Research Project, Grant-In-Aid For Scientific Research(1994). (1995)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 梶原景昭: "デモクラシーと異文化共存" 大阪大学人間科学部紀要. 20. (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 岡本真佐子: "異文化共存と開発" 大阪大学人間科学部紀要. 20. (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書

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公開日: 1993-04-01   更新日: 2016-04-21  

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