研究課題/領域番号 |
05041036
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
五百旗頭 真 神戸大学, 法学部, 教授 (10033747)
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研究分担者 |
増田 弘 東洋英和女学院大学, 人文学部, 教授 (70136894)
坂元 一哉 三重大学, 人文学部, 助教授 (20183816)
天川 晃 横浜国立大学, 大学院・国際経済法学研究科, 教授 (10009813)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1993年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 戦後日本 / 占領改革 / 55年体制 / 沖縄返還 / 日米関係 / 米国国立公文書館 / オーラル・ヒストリー / ライシャワー大使 |
研究概要 |
本調査研究の目的は、戦後の国際政治経済システムが転機にさしかかっている今日、その中で繁栄と平和を享受してきた「戦後日本」の姿を改めて広い歴史的視野に立って見直すという自己確認のための基盤を確立することにある。 一言で「戦後日本」と言っても、それは三局面に大別されよう。第1には、占領期における諸改革の実施と、その受益層として戦後日本の政治主体が形成される局面、第2には、戦後体制が形成された重要な時期でありながら、研究面では「谷間」に留まりがちであった1950年代の政治過程、第3には、戦後体制の定着をみることになる1960年代における政治外交の展開である。 これら三局面にまたがる「戦後日本の政治システム形成」に関する基礎的資料と情報を、4名で手分けしつつ、米国各地に調査収集した。米国を調査地としたのは、言うまでもなく米国が戦後日本形成に決定的役割を果したのみならず、米国における公文書をはじめとする資料環境が卓抜しているからである。調査収集した資料は、第1に政府公文書を中心とする文献資料であり、第2には重要な役割を果した関係者へのインタヴューである。双方について、このたびの調査研究がきわめて時宜にかなったものであることが、実施するなかで確認された。 文書面では、米国政府公文書公開が30年ルールをとりつつも近年遅れがちであり、満足に見ることができるのは1960年前後までであるとされてきた。実際、アイゼンハワ-期の文書はNational Archivesにおいても大統領図書館においても十分に利用できるが、60年代初頭のケネディ政権についてはワシントンの公文書館、ボストンの大統領図書館の双方において極めて不満足な状況に留っている。ところが、驚くべきことにテキサス州オースチンのジョンソン大統領図書館においては1968年までの文書がほぼ全面的に整理公開されていた。そういう次第で、このたびの調査研究においては、文字通り上記三局面のすべてにわたって、すなわち占領改革から沖縄返還に至るまでの原資料の収集が可能となった。また、これら原文書のマイクロ形式での出版が公文書館自身と民間出版者によって進められており、そのうち本調査研究に密接に関連するものを入手しえた。 関係者談話については、戦後日本形成期に歴史的役割を果した人物のうち、たとえば1950年の時点で40代の働き盛りであった人が今では80代を迎えており、すでに世を去った重要人物も少くない。ただ、現時点ではまだ存命の要人も多く、今はOral History収録のラスト・チャンスというべき時機にあるといえよう。すでに他界した人でも米国社会に著名な人であれば、たとえばライシャワー大使の場合には、ケネディ・ジョンソン両大統領図書館において生存Oral Historyが収録されており、そのコピーを閲覧しえた。だが圧倒的多数の米国人日本関係者はそのような扱いを受けておらず、われわれの任務もそうした人々から今のうちに聞き取っておくことにある。 このたび原文書を調査した機関としては、ワシントンDCのアメリカ議会図書館、米国国立公文書館のほか、占領期についてはヴァージニア州ノ-フォークのマッカーサー記念館、コルグローブス文書(シカゴ)、スタンフォード大学のフーバー図書館、そして時代順に、アイゼンハワ-、ケネディ、ジョンソンの各大統領図書館(カンザス州、マサツセッツ州、テキサス州)などが中心的であった。 インタヴューは、占領期について、ベアワルド、アカ、ネピア、ハウギ、プール、ケ-ディスらの重要関係者、1950年代については、フィンら、60年代についてはロストウら、さらにこれら三局面をふくむ長期にわたる日米関係の重要問題につき、ディバイン、ダレッツ、オクセンバーグ、モリリン、入江らアメリカ外交史と日米関係研究者とも意見交換を行った。 以上を通して、堅固な資料的根拠をもって、独自の実証研究を展開する基盤が大きく拡がったといえる。詳述するスペースはないが、これまでの通説をくつがえし、あるいは確証する発堀は諸局面にわたって存在する。かかる有益な学術研究を助成されたことに心より謝意と敬意を表したい。
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