研究課題/領域番号 |
05041037
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
加茂 利男 大阪市立大学, 法学部, 教授 (80047357)
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研究分担者 |
宗田 好史 京都府立大学, 生活科学部, 助教授 (70254323)
岡本 祥浩 中京大学, 商学部, 助教授 (70211810)
松岡 俊二 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00211566)
遠州 敦子 高田短期大学, 助教授 (90175232)
樫原 正澄 関西大学, 経済学部, 助教授 (20128763)
遠州 尋美 日本福祉大学, 経済学部, 助教授 (30168819)
塩崎 賢明 神戸大学, 工学部, 助教授 (20127369)
西沢 信義 (西沢 信善) 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (30164552)
重森 暁 (重森 曉) 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (70036581)
木下 滋 阪南大学, 商学部, 教授 (10161530)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
1995年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1994年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1993年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 持続可能な発展 / ローカル・イニシャティブ / 輸出指向工業化 / 都市農村格差 / コミュニティー・ベースド・ディベロップメント / サブ・リージョナル・コ-ポレーション / 開発と保全 / グローバル・パートナーシップ / 東南アジア / コミュニティベースド・デベロップメント / サブリージョナル・コ-ポレーション / 地域間分業 |
研究概要 |
平成5、6年度に引き続き、7年度は第3次現地調査を実施するとともに、3年間の研究のまとめを行った。現在の時点で得られた研究成果は以下のとおりである。 1)東南アジアの経済成長と持続可能性に関する理論的知見 1)-1 輸出指向工業化にもとづく東南アジア諸国の経済成長はめざましく、地域全体に広がっているが、成長パターンは多様化しつつある。シンガポール、マレーシアなどでは、高成長のもとで低インフレ、経常黒字が維持されているが、タイ、フィリピン、インドネシアなどでは、成長がインフレまたは国際収支の悪化(ないしその双方)を伴いつつある。成長過程におけるマクロ経済管理の成功・不成功、いいかえれば政府機能の違いが、こうした成長パターンの多様化を生じ始めているものと思われる。 1)-2 この成長パターンの多様性は、成長・開発と環境保全や都市農村格差是正、社会開発政策などの関連パターンの多様性にもつながっている。 GDPに占める政府支出の比率が高いシンガポール、マレーシャでは、人口当たりのエネルギー消費が比較的低く、教育などへの投資が大きいが、フィリピン、インドネシアでは政府支出の規模が小さく、環境保全につながる技術開発・社会開発投資は低位であり、タイは両者の中間といえる。 1)-3 半面タイやフィリピンではNGOセクターの活動が盛んで、環境保全・社会開発の領域で、政府の機能を代位し始めている。これに伴いこれらのは地方分権やローカル・イニシャティブ形成の改革も試みられており、シンガポールやマレーシャとは異なるガバナンス・システムが形成されつつある。 1)-4 豊かな農業基盤と貴重な自然資源を有し、エネルギー少消費型の生活様式が根付いてきた東南アジアも、経済成長も都市化とともに資源浪費・環境破壊型の社会に変貌しつつあるが、これに対する政策対応も始まっており、それが上述のようなガバナンス・システムの多様化を生み出している。こうした多様性を組み込んだ持続可能な発展へのグローバル・パートナーショップの形成が求められているといってよい。 2)主な個別研究の成果 2)-1 東南アジアにおける政府-NGO関係 シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピンの4カ国で、環境保全における政府とNGOの関係を調査した結果、シンガポール・マレーシアは政府主導でNGO規制の強い「権威主義=パタ-ナリズム」であり、フィリピンは、国・地方の両レベルでNGO参加を制度化した「リベラル、コ-ポラティズム」ライは、NGOが参加権を制度化されていないが活動量が大きい「遮蔽型多元主義」といえることがわかった。 2)-2 タイのコミュニティ・ベースド・ディベロップメント活動 UCDO (Uraban Community Development Office)の助成によるバンコクのスラム地域における雇用創出・コミュニティー形成事業について現地研究者との共同で実態調査を行い、a)政府の資金援助と貯蓄・組合形成などを促す適切な事業スキームb)政府-企業-NGOセクターの緊密なパートナーシップなどの結果、急激な経済成長から取り残された貧困層の相当部分に自立と協同のアクションを呼び起こしていることを検証しえた。 2)-3 東南アジア環境問題の特質と国際協力 フィリピン、タイを中心に、東南アジアの環境問題の特質・環境対策と日本からの技術援助など実態を調査した結果、a)東南アジアの環境問題は、経済成長・先進社会化に伴って起こっており、先進国の経験を踏まれた国際協力は有効性をもつ b)従来の通説とは異なり、自然環境保全技術には技術移転の条件が高いが、公害防止技術の転移に困難が大きいなどの知見を得た。
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