研究課題/領域番号 |
05041038
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
嘉治 佐保子 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (30169437)
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研究分担者 |
VANDERSANDEN ジョルジュ Brussels Free University, 教授
SCHWOK Rene. Graduate Institute of International Stud, 助教授
KIRCHNER Emi University of Essex, 教授
吉武 信彦 高崎経済大学, 経済学部, 助教授 (80240266)
庄司 克宏 二松学舎大学, 国際政経学部, 助教授 (60235710)
小久保 康之 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (60221959)
渡邊 啓貴 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (80150100)
植田 隆子 国際基督教大学, 教養学部, 準教授 (10138620)
三浦 信孝 中央大学, 文学部, 教授 (10135238)
田中 俊郎 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (90051862)
VANDERSANDEN ジョージ Brussels Free University, 教授
SCHWOK Rene Graduate Institute of International Stud, 助教授
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
25,000千円 (直接経費: 25,000千円)
1995年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1994年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1993年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
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キーワード | 欧州統合 / EU(欧州連合) / 欧州通貨同盟 / 深化と拡大 / 欧州委員会 / 欧州安全保障 / 欧州審議会 / 政府間会議 / 欧州連合(EU) / 経済通貨同盟(EMU) / 欧州安全保障協会機構(OSCE) / 欧州理事会 / 統一ドイツ / EC(欧州共同体) / マ-ストリヒト条約 / 新欧州秩序 / 市場統合 |
研究概要 |
平成8年度は、研究責任者・分担社8名および研究協力者2名の合計10名を欧州各地に派遣し、過去2年間に築いた情報収集ネットワークを十分に活用し、各研究課題の分析に必要な情報・資料収集、面接調査を実施した。本年度は、本国際学術研究の最終年度であることに鑑み、研究の取りまとめ作業を平行して進め、国内外において研究成果を発表した。 各研究者の研究実績は以下の通りである。 1.嘉治佐保子は、「欧州通貨同盟の進捗状況」について現地で得た最新情報から、欧州通貨同盟が簡単に断念されるようなプロジェクトではないことを確認しさらに欧州通貨同盟にEU加盟国が経済的に参加できるか否かを判断する時期が迫るにつれてEU内部での緊張が高まる可能性を指摘に至った。 2.田中俊郎は、「国際社会の変容と欧州統合」について、一方においてEU統合の進展が欧州大陸内部に新たな国家間関係を構築しようとしている状況を分析すると同時に、EUがアジア地域とも新しい関係構築に積極的に動いている現状を指摘し、国際社会全体の構造変容の実態を明らかにした。 3.三浦信孝は、「フランスのEU政策」の中で、文化政策に焦点を当て、特にガットのウルグアイ・ラウンドにおける映画・オ-ディオヴィジュアルの文化特例問題を取り上げ、フランスがEU統合過程における文化保護の問題をきわめて重要視している側面を浮き彫りにした。 4.植田隆子は、「欧州統合と欧州安全保障」に関して、EU、NATOの拡大問題、欧州安全保障の一翼を担う欧州安全保障機構(OSCE)を中心に面接調査を実施し、協調的安全保障という新たな枠組み作りが困難な問題を抱えつつも着実に進展している状況を明らかにした。 5.渡邊啓貴は、「フランスのEU政策」について、新たに発足したシラク政権の政策を中心に調査を進め、今後もフランスがEU統合を進展させるという基本線を確認しつつ、シラク政権の国益重視の政策を指摘した。 6.小久保康之は、「EUの中・東欧政策」に関する現地調査を通じて、中・東欧諸国のEU加盟を現実的な課題として捉える必要性を確認し、EUが東への拡大を視野に入れた具体的な戦略を検討していることを明らかにした。 庄司克宏は、「欧州審議会の動向」に関する調査を通じ、欧州審議会がロシアを含む中・東欧・旧ソ連諸国に対して、欧州審議会加盟前の援助(人権および民主主義に関する技術援助)および加盟後(加盟条件の遵守)を実施することにより、欧州の安全保障に貢献していることを確認した。 8.吉武信彦は、「北欧諸国のEU政策」について、1995年に北欧の2国、フィンランドとスウェーデンがEUに加盟する過程を現地において視察し、EU統合への参加をめぐり賛否が揺れ動くそれら2国の国内情勢を分析した。 10.明日ゆかりは、「WTOとEU」というテーマの下に、1995年に新たに発足した国際貿易機構(WTO)をめぐる主導権争いのなかで、EUが巧みにEU自身の利益保護のために動いていることを明らかにした。 11.浅見政江は、「ドイツのEU政策」について、統一後の様々な問題を抱えるドイツがEUの一員であることを強調しつつ、ドイツおよびドイツ経済圏の利益を念頭においた政策を展開する可能性の有無を検証した。 また、本年度はブリュッセル自由大学のヴァンデルサンデン教授を招聘し、「EU統合における欧州委員会の役割」および「1996年政府間会議(IGC)の行方」について集中討論を行った。その中で、EUにおいて欧州委員会が今後も重要な役割を果たすと思われるが、加盟国政府との対立が激しくなることが予想されること、1996年の政府間会議はEU統合の将来像を規定する重要な会議となること、などについて認識を共有することができた。 研究グループ全体としては、EU統合が試行錯誤を繰り返しながらも「深化と拡大」を続けていること、また、EU統合の進展とともに、国際社会における従来の国家間関係に代わる新たな枠組みが構築されつつあることを明らかにすることができた。
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