研究課題/領域番号 |
05041043
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
北岡 伸一 立教大学, 法学部, 教授 (80120880)
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研究分担者 |
赤根谷 達雄 筑波大学, 社会工学系, 専任講師 (00212407)
李 鐘元 東北大学, 法学部, 助教授 (20210809)
森山 茂徳 獨協大学, 法学部, 教授 (50107497)
石井 修 一橋大学, 法学部, 教授 (60116530)
LEE Jong Won Tohoku University, faculty of law, assistant professor
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1993年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 日本外交 / 戦後 / 冷戦 / 日米関係 / 日米安全保障条約 / 吉田茂 / 鳩山一郎 / 岸信介 |
研究概要 |
(1)目的 本研究は、1951年のサンフランシスコ講和条約の調印から、1960年の日米安全保障条約の改定に至る約10年間の日本外交について、海外における基礎資料の収集を行うことを主たる目的としていた。従来、この時期の日本外交は、アメリカの国立公文書館所蔵の外交文書を中心として進められてきた。それは、同資料の内容の豊かさと、当時の日本外交におけるアメリカの比重の大きさからして、当然のことであった。しかし、アメリカの視点だけで日本外交を見るわけにはいかない。より多元的な視点が必要なことは論をまたない。こうした観点から、われわれは、イギリス、カナダ、オーストラリア、韓国といったアメリカと密接な関係のある国々に目を向け、またアメリカにおいては大統領図書館の資料に注目することにしたわけである。 (2)海外調査の実施 調査は、事前の役割分担に関する調整を踏まえ、5人が別々に行った。 まず北岡は、イギリスの国立公文書館において1950年代のイギリスの対アジア、対日、対米政策に関する資料を閲覧し、収集した。イギリス外交に戦前のような力はなく、とくに1950年代になると対米関係でも自主性を弱めていくが、それでもアメリカ外交とは異なる対日観、対日政策がしばしば示されており、興味深かった。なお北岡は、日本の独立とイタリアの独立の比較のため、イギリスからの帰途、ローマで若干の研究者とのインタビューを計画していたが、日程と費用の関係で断念せざるを得なかった。 石井は主としてカナダの国立公文書館において、戦前から戦後にかけての通商政策関係の資料を閲覧、収集した。その結果、かなりの継続したパターンが存在するという印象を持つに至った。 森山は韓国において、ソウル大学、国立国会図書館などで、様々な外交関係の資料の発掘にあたった。しかし資料状況は不良であって、短期間でまとまった資料を得ることは難しかった。このような調査にはある程度不可避的に付随する問題で、止むを得ないと考える。 赤根谷はオーストラリアにおいて、オーストラリア国立大学およびオーストラリア国立公文書館において、外交資料の閲覧、収集にあたった。重点は、安全保障問題よりも、通商政策に置かれた。しかし、当初計画していたニュージーランドにおける資料調査は、日程、資料状況、資金などの理由で断念せざるを得なかった。しかしキャンベラにおいては、ほぼ初期の目的を達したと考える。 李はボストンのケネディ・ライブラリー、テキサスのジョンソン・ライブラリーなどの大統領図書館を中心にして、アメリカの東アジア政策関係の資料の閲覧、収集にあたった。かなり充実した内容が得られたので、予定を延長して調査にあたった。 (3)帰国後の活動 以上の収集資料は、各収集者が独自に分析し、それぞれの研究に利用している。資料の共有、交換、共同研究のための独自の会合は持っていないが、全員が「文部省科学研究費重点領域研究・戦後日本の形成」のメンバーなので、その研究会において、情報の交換などを行い、他の重点領域研究のメンバーを含めて、成果を利用出来るようにしている。 また、研究の成果については、北岡が岸信介に関する論文を、石井がカナダの通商政策に関する論文を、また李が日韓会談に関する論文を、それぞれ本調査資料を利用して執筆中であり、赤根谷も本調査の資料を用いた日豪関係に関する新しい論文を準備中である。また森山は94年4月より1年間ソウルで在外研究に従事出来るようになったため、本研究でやり残した基礎資料収集に引き続き取り組む予定である。 全体に、大きすぎる課題であったため、十分と言うにはほど遠いが、今後の研究の基礎となる堅実な成果を挙げることが出来たように思われる。
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