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アンデス南部・パタゴニア地域における近年の氷河変動の特性

研究課題

研究課題/領域番号 05041049
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関北海道大学

研究代表者

成瀬 廉二  北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (10002099)

研究分担者 PISANO Edmun  マガリャネス大学, パタゴニア研究所, 名誉教授
RIVERA Andre  チリ大学, 地理学科, 助手
IBARZABAL Te  アルゼンチン国立気象局, 気候部, 研究員
VIDAL Fernan  チリ公共事業省, 水局・水文研究課, 研究員
LEIVA Juan  アルゼンチン科学技術省, 地域研究センター, 地球科学部長
SKVARCA Pedr  アルゼンチン国立南極研究所, 氷河学部門, 主任
佐藤 和秀  長岡工業高等専門学校, 教授 (80113398)
安仁屋 政武  筑波大学, 地球科学系, 助教授 (10111361)
研究期間 (年度) 1993
研究課題ステータス 完了 (1993年度)
配分額 *注記
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1993年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
キーワードパタゴニア地域 / パタゴニア氷河 / 氷河変動 / 氷厚変動 / 氷河流動 / 氷河熱収支 / 氷河地形 / アイスレーダー
研究概要

本研究は、近年の地球規模の環境変化および温暖化傾向が、南アメリカ大陸の氷河へおよぼす影響とそのメカニズムの解明を目的とした。そのため、南アメリカ大陸南部、南パタゴニア氷床から東方の湖へ流出するウプサラ、モレノ氷河にて1993年11月に、南方へ流出するチンダル氷河にて1993年12月に、以下の項目に関する調査を行い、それぞれ多くの成果を得た。
1.氷河の表面高度変化の直接測定
三つの氷河の消耗域(下流域)側岸露岩上に設置されてある基準点から、氷河上の2〜4kmの測線に沿う表面高度を三角測量により測定した。1990年11月、12月の測量結果と比較することにより、3ヵ年間の氷河表面の高度変化(すなわち、氷厚変化)が得られた。すなわち、ウプサラ氷河は30〜45mの氷厚減少、チンダル氷河は10〜15mの氷厚減少、一方、モレノ氷河はほぼ平衡という結果であり、これらは氷河により変動の傾向が異なる非常に興味深い成果である。今後はさらに類似の多くのデータを収集する必要があり、さらにその変動の原因を解明することが肝要である。
また、三氷河の末端、側岸の位置も詳細に調査した結果、ウプサラ、チンダル氷河は過去3ヵ年間で大きな後退、一方、モレノ氷河はほぼ定常状態にあることが分かった。
2.氷河の動力学的調査
ウプサラおよびモレノ氷河では、上述の測量を氷河滞在中繰り返して実施し、氷河流動速度の分布および速度の日々変動を測定した。この観測により、流動速度は日により、また昼夜により異なるという結果が得られた。例えば、モレノ氷河消耗域の中央付近の流動速度は約1.8m/日、側岸付近は0.5m/日であり、さらに側岸近停の速度は最低0.4cm/時から1.2cm/時の間で変動を示していた。以上の結果、氷河流動には底面すべりの寄与が大きいことが明かとなった。さらに、チンダル氷河では、1990年に氷河上に設置した岩の位置を再測量し、過去3ヵ年間の平均流動速度が求められた。また、モレノ、チンダル氷河では氷河表面の歪速度を測定し、チンダル氷河では調査測線に沿う基盤地形をアイスレーダーにより調査し、氷河変動メカニズムを考察するための重要な情報を得た。
3.空中写真撮影
チリのコヤイケ市で1993年12月末、小型航空機をチャータ-し、北パタゴニア氷床から東西南北に流出する約20個の氷河の空中写真撮影を行った。同写真を、1985年、1990年撮影の写真に重ね合わせ、過去数年間の氷河変動を詳細に解析する。現在までの解析によると、北氷床の大半の氷河は後退傾向にあることが分かってきた。
4.気象・熱収支観測
モレノおよびチンダル氷河にてそれぞれ約2週間、地上気象および熱収支観測を行い、多くのデータを得た。主な熱収支観測要素は、全天日射量、全波長放射収支、風速、気温、湿度、融氷量、表面アルベドである。比較的温暖かつ強風下のパタゴニア氷河では、従来から指摘されているように、融氷におよぼす熱源としては、顕熱および潜熱の寄与が大きいという結果が得られた。この他、パタゴニア地域周辺の気象・気候資料を解析しており、同地域の気候特性、近年の気候変動を明らかにする予定である。
5.氷河周辺の地形および水文学的調査
アメギノ谷、ウプサラ氷河末端付近、チンダル氷河下流側岸地域にて地形学的調査を行い、近年の氷河変動にかかわる諸情報、新たな知見を得た。また、各氷河上の流水、氷河周辺の小川、池の水の採水を行い、試料を国内に持ち帰った。これらについて主要化学成分の分析を行い、水文学的特性を考察する。また、モレノ氷河上の池の水位変動の観測も行った。
以上のデータを現在解析中であるが、各成果は平成6年度中に国内外のシンポジウムにて発表するとともに、いくつかの論文として公表する予定である。

報告書

(1件)
  • 1993 研究成果報告書概要
  • 研究成果

    (10件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (10件)

  • [文献書誌] 成瀬 廉二: "Thickness change and flow of Moreno Glacier,southern Patagonia" Bulletin of Glacier Research. (投稿準備中).

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 安仁屋 政武: "Glacial landforms in the Ameghino Valley,southern Patagonia" Bulletin of Glacier Research. (投稿準備中).

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 佐藤 和秀: "Meteorological measurements at Tyndall Glacier in December 1993" Bulletin of Glacier Research. (投稿準備中).

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Pedro Skvarca: "Thickness change and flow of Upsala Glacier,southern Patagonia" Bulletin of Glacier Research. (投稿準備中).

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Teresa Ibarzabal: "Climatological features in southern South America" Bulletin of Glacier Research. (投稿準備中).

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Renji Naruse: "Thickness change and flow of Moreno Glacier, southern Patagonia" Bulletin of Glacier Research. (in preparation).

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
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      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Masamu Aniya: "Glacial landforms in the Ameghino Valley, southern Patagonia" Bulletin of Glacier Research. (in preparation).

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kazuhide Sato: "Meteorological measurements at Tyndall Glacier in December 1993" Bulletin of Glacier Research. (in preparation).

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Pedro Skvarca: "Thickness change and flow of Upsala Glacier, southern Patagonia" Bulletin of Glacier Research. (in preparation).

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1993 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Teresa Ibarzabal: "Climatological features in southern South America" Bulletin of Glacier Research. (in preparation).

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
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      1993 研究成果報告書概要

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公開日: 1993-04-01   更新日: 2016-04-21  

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