研究課題/領域番号 |
05041050
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長谷川 昭 東北大学, 理学部, 教授 (40004460)
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研究分担者 |
鄭 斯華 中国国家地震局分析予報中心, 教授
陳 天長 中国四川省地震局, 助教授
韓 渭賓 中国四川省地震局, 教授
松本 聡 東北大学, 理学部, 助手 (40221593)
堀内 茂木 東北大学, 理学部, 助教授 (00004490)
CHEN Tianchang Seismological Burean of Sichuan Province, China, Associat Professor
ZHENG Sihua State Seismological Burean, China, Professor
鄭 斯革 中国国家地震局, 分析予報中心, 副主任教授
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | プレート収束帯 / 内陸地震 / 中国四川省 / 地震活動特性 / サイスモテクトニクス / 地震学的構造 / 地殻構造 / 東北日本 / 地震速度構造 / モホ面 / 地殻不均質構造 / 活断層 / 地震波速度構造 / 地震波反射面 / 地震波散乱体 |
研究概要 |
中国四川省は陸と陸のプレートが衝突し、一方、東北日本は海と陸のプ-トが衝突するプレート衝突帯に位置している。この二つのタイプの異なるプレート衝突帯を比較研究することにより、プレート衝突帯に典型的にみられる内陸地殻内地震の発生機構の理解を深めることが本研究の目的である。 東北日本には、地震予知計画により高感度の稠密微小地震観測網が展開され、これから得られたデータを用いて、3次元地震速度構造、減衰構造、異方性構造、震源分布、起震応力場の分布などの地震学的構造に関する詳細な地下の情報が得られている。一方、中国四川省でな過去に多くの被害地震に見舞われてきたこともあって、テレメータによる地震観測点を20点ほど省内に設置し、成都と西昌の2ケ所で集中記録している。しかしながら、その記録方式は旧態依然とした送り速度の遅いペン書きドラム記録であり、震源決定などの基本的処理さえも困難を来しており、地震波形記録を用いた高度な解析などはとてもできない状態にあった。さらに観測点密度の不充分な状態にあった。東北日本のそれと比較検討し、内陸地殻内地震の発生機構の理解を深めるという本研究の目的を達成するためには、中国四川省の地震観測システムの強化をはかる必要がある。 そこで、パソコンを用いたデイジタル波形収録・自動処理システムを現地の成都および西昌の集中局に設置し、既存のシステムの最大の弱点を強化した。このように安価なパソコンを用いた収録・処理システムは、研究代表者らによって初めて開発されたものであり、本研究では、それを一部改良して現地に導入した。これにより、データ処理速度が飛躍的に向上し、さらに高精度のデイジタル地震波形データが得られるようになった。また、観測点密度の不足を補うために、臨時地震観測システムの構築を行った。これらのシステムの運用・維持管理は、現地の研究分担者および研究協力者によって行われており、データを順調に蓄積してきた。 これまでに蓄積してきたデイジタル波形記録を用いて、四川省下の地殻の地震学的構造に関する幾つかの新しい知見が得られた。 まずは、自然地震と人工地震と走時データを用いて、この地域の地殻のP波およびS波速度構造を推定した。これは、この地域で初めて得られたものであり、高精度の震源決定に不可欠でもある。得られた地殻構造は、東北日本に較べて厚い地殻を有し、陸と陸のプレート同士が衝突する衝突帯に特有の構造をしている。また、ここで推定された地震波速度構造を用いて、竜門山断層帯に沿って活発に発生している地震の精密な震源決定を行った。その結果、従来ルーチン的に行われてきた震源決定によるものに較べ、格段に高精度の震源決定が可能になった。これは、ここで推定された地震波速度構造の正確さによるものである。得られた震源分布は、従来のものに較べ、竜門山断層帯のうち、その主断層により密集して分布することが明らかになった。また、地震発生層の深さは、約20キロメートル以浅であり、予想に反し東北日本とそれほど違わないことがわかった。 地震波減衰構造については、Pコーダ波のQ値の推定を行った。Q値は他地域におけるそれと同様に、周波数に依存し、周波数の巾乗に比例して大きくなることがわかった。また、その巾の値を東北日本など他地域でのそれと比較すると、テクトニクス的に活動的な地域の値とほぼ同じ値をとることが明らかになった。 地震波異方性構造については、S波スプリッテイングの有無を調査した。その結果、その地域の地殻には確かに異方性が存在し、スプリッテイングの方向が広域応力場の圧縮軸の方向と、ほぼ一致することがわかった。これは、異方性がクラックの開口によって形成されていることを強く示唆するものである。 内陸地殻内地震の発生機構の理解をより一層深めるたも、今後さらに、東北日本との比較検討を進めてゆくつもりである。
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