研究課題/領域番号 |
05041051
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡野 章一 東北大学, 理学部, 助教授 (10004483)
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研究分担者 |
HARTWING Ger アルフレッドウェーゲナー極地海洋研究所, 上級研究員
矢島 信之 宇宙科学研究所, 教授 (30200489)
中島 英彰 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (20217722)
田口 真 東北大学, 理学部, 助手 (70236404)
福西 浩 東北大学, 理学部, 教授 (90099937)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1993年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | オゾン / 微量成分 / 成層圏 / ハートレー帯吸収 / 気球 / 北極 / スピッツベルゲン / キルナ / レーザーヘテロダイン分光 / 大気微量成分 / 極域成層圏 / オゾンホール / 波長可変半導体レーザー |
研究概要 |
1.1993年度は、実験の面からは北極域の成層圏上部のオゾン高度分布の観測を目的として、帰休に搭載してハートレー帯のオゾンによる太陽紫外線吸収を測定する光学オゾンセンサーの開発を重点的に行った。また北極域でのオゾン気球観測の準備としてスウェーデン・キルナのエスレンジ実験場等の事前調査を行うとともに、フランス・国立科学研究センター・超高層物理学研究所を訪問してヨーロッパ北極域でのオゾン観測についての情報交換、打合せを行った。この事前調査では2名を派遣した。 2.1994年度には気球搭載の光学オゾンセンサーに以下のような改良を加えた。1993年度の光学センサーでは、気球の姿勢変化に補正するための紫外と可視の信号の除算をセンサー上で行い除算結果を地上に送信していたが、1994年度は同時に測定した紫外と可視の信号をそれぞれ地上に送信し、データ解析時に除算を行うようにした。また1993年度は296nmと305nmの2波長の紫外光強度を測定するために紫外と補正用可視フォトメータ対を2体搭載していたところを、1994年度は302nmの1対のみとし、低コスト化と軽量化を達成した。 3.1994年7月23日と7月27日の2回にわたってノルウェー領スピッツベルゲン島ニ-オルソンにおいて、宇宙科学研究所気球工学部門、ドイツ・アルフレッドウェーゲナー極地海洋研究所およびノルウェー極地研究所の協力のもとに、BT-5型高々度気球(5000m^3)に光学オゾンセンサーを搭載して、北極域夏季の成層圏オゾン高度分布を調べるための放球観測を行った。なお、この放球観測では通常の電気化学式オゾンゾンデも同時に搭載して比較観測を行った。この放球観測では観測人員4名を現地に派遣した。 4.1995年3月にスウェーデン・キルナのエスレンジ実験場において大気球に電気化学式オゾンゾンデ、化学蛍光法によるNOおよびNO_yセンサー、さらにエアロゾルカウンターを搭載して、北極域晩冬季の成層圏オゾンおよび窒素酸化物の高度分布の観測を行った。この観測では観測人員1名を現地に派遣した。 5.北極域でのオゾン観測結果についての検討を以下のように行った。但し1995年3月のキルナでの気球禁則については本研究概要記入の段階でまだデータ管理が完了していないのでここでは割愛する。 (1)スピッツベルゲンでの光学オゾンセンサーと電気化学式オゾンゾンデの同時観測結果を比較すると、高度25km以上では電気化学式オゾンゾンデは高度が高くなるにつれてオゾン数密度の観測値がほぼ単調に減少しているが、一方光学オゾンセンサーの観測結果は高度変化に対してオゾン数密度の高度分布に数kmのスケールの構造が現れている。高度25km以下では両者とも2回の観測で高度分布はよく一致している。特に高度10〜13kmにおけるオゾン数密度の7月23日と7月27日の違いが光学オゾンセンサーにも電気化学式オゾンゾンデにも同様に現れている。 (2)国内で宇宙科学研究所の三陸大気球観測所で1994年5月と8月(中緯度夏季)に行った光学オゾンセンサーによるオゾン高度分布の観測結果とスピッツベルゲンでの観測結果(北極域夏季)を比較すると、高緯度の方がオゾン数密度のピークが現れる高度が低いという傾向が見られる。 (3)スピッツベルゲンでの7月23日の光学オゾンセンサーと電気化学式オゾンゾンデとの同時観測では、光学オゾンセンサーの方がオゾン密度の変動に対して早く応答しているように見える。 以上をまとめると、本研究において高々度気球搭載の光学オゾンセンサーにより北極圏の成層圏上部までのオゾン高度分布を十分な高度分解能で求めることが可能となった。
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