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エ-ゲ火山弧の地球化学的調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 05041056
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関東京大学

研究代表者

野津 憲治  東京大学, 理学部, 助教授 (80101103)

研究分担者 MITROPOULOS ピー.  アテネ大学, 理学部, 助教授
北 逸郎  秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (10143075)
長尾 敬介  岡山大学, 地球内部研究センター, 教授 (40131619)
松田 准一  大阪大学, 理学部, 教授 (80107945)
守屋 以智雄  金沢大学, 文学部, 教授 (50052494)
MITROPOULOS P.  アテネ大学, 理学部, 助教授
研究期間 (年度) 1993 – 1994
研究課題ステータス 完了 (1994年度)
配分額 *注記
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1994年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1993年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
キーワードエ-ゲ火山弧 / ギリシャ共和国 / マグマ揮発性物質 / 火山ガス / 噴気 / 温泉 / 地球化学 / 火山地形学
研究概要

本研究は、大陸プレートであるアフリカプレートの沈み込みに起因するエ-ゲ弧の火山活動を、マグマ揮発性物質の地球化学的研究と火山地形学的研究とを結びつけて解明することを目的としている。平成6年9月12日から10月14日の期間内に、野津、守屋、松田、長尾、北の5名の日本側研究者がギリシャを訪れ、分担者であるアテネ大学のMitropoulosと、現地調査を行い、試料採取を行った。なお、この期間内に、守屋と北は、エ-ゲ火山弧の北方に位置する火山調査のため数日間ル-マニアを訪れ、野津は、エ-ゲ弧の東の延長上の火山調査のため数日間トルコを訪れた。
ギリシャ国内における現地調査は、平成5年度(初年度)に主として火山フロント沿いの火山について行ったので、本年度は、火山フロントより背弧側に位置するイカリア島、レスホス島を集中的に行った。両島には現在活動していたり噴火記録のある火山はないが、第三紀に噴出した火山岩が分布し、地熱地帯が発達し、温泉も多くみられるので、アフリカプレートの沈み込む方向でのマグマの変化を調べるのに適した場所である。また、エ-ゲ火山弧の西側延長上に位置するペロポネソス半島西部の温泉の調査も行った。この外にすでに調査を行っているサントリ-ニ、ミロス、コス、ニシロス島の第四紀火山についても研究分担者が個別に追加的な調査を行った。調査内容は、(1)火山ガス、噴気などマグマ揮発性物質の噴出状況調査、(2)地熱および温泉調査、(3)火山地形調査 からなり、火山ガス、噴気、温泉ガスなど気体試料、温泉水、河川水など天然水試料を分析用に採取し、日本へもち帰った。昨年度の調査では、試料採取地点をみつけるのに予想外の時間がかかり能率が悪かったが、今年度は、ギリシャ側分担者があらかじめ事前に調査をし、現地の案内人を手配しておいたため、比較的能率よく調査することができた。エ-ゲ火山弧において火口から火山ガスが出ているのは、ニシロス火山に限られ、サントリ-ニ火山では弱い噴気が認められる。これらの火山についてはマグマ活動の推移をしらべることを目的として、前年度と同一の地点でのサンプリングも行った。
分担者の守屋は、今年度と昨年度との調査をもとに火山地形学的見地からエ-ゲ火山弧の第四紀火山について中間的なまとめを行った。エ-ゲ火山弧の火山の特徴はいわゆる島弧型であるが、ミロス、パトモス、エジナ、メサ-ナ火山のように、火砕流、溶岩円頂丘の集合体からなる火山体が主で、成層火山はニシロス火山のみである。ニシロス火山は、赤城-榛名型の成層火山後期の発達段階にまで達している。サントリ-ニ火山のカルデラ形成期以前に7つの中規模成層火山が存在していたことが知られているが、いずれもその規模は大きくない。このように、一般に規模が小さく、デ-サイト・流紋岩質の火砕丘・溶岩円頂丘火山・カルデラ火山から成り、玄武岩〜安山岩質溶岩流・スコリアを主体とする大規模成層火山が認められないのがエ-ゲ火山弧の特徴である。このような特徴は日本の島弧と明瞭に異なっており、マグマ揮発性物質の研究結果と考え合わせて、大陸プレートの沈み込みによるマグマの生成を検討していく予定である。
昨年度、今年度もち帰った試料の分析は、現地調査と平行して行われており、結果が出始めている。温泉水のδ0^<18>、δD測定によれば、大部分の試料がいわゆる全世界の天水ライン上に分布しており、降雨起源であることを示している。ミロス火山の1試料だけは、例外的にこの天水ラインからはずれ、Cl濃度も海水の3倍に近い56000ppmであるので、何らかの蒸発効果をうけているであろう。温泉ガス、火山ガス中のCO_2のδC^<13>は、-2.9から-0.7‰に分布しており、火山地帯の試料であるにも拘ず、、海成炭酸塩の影響が大きいことが示された。唯一テルモピレウスの試料だけは-4.9‰でマントル(火山)起源の可能性があるが、海成炭酸塩と有機炭素との混合の可能性も検討する必要がある。^3He/^4He比の結果からは、マンサル起源のヘリウムが放出しているので、エ-ゲ火山弧では、マグマに由来するマントル起源ガスが地表近くの炭酸塩層を切って出ていることが示された。分析結果はまだ部分的にしか出されておらず、早急に全試料の分析を終え、エ-ゲ火山弧のマグマ揮発性物質の特徴からマグマの生因をとらえ、日本の島弧との比較検討も行う予定である。

報告書

(2件)
  • 1994 研究成果報告書概要
  • 1993 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] K.NOTSU,J.MATSUDA,I.KITA,K.NAGAO,I.MORIYA and P.MITROPOULOS: "Geochemistry of volcanic volatiles from the Aegean arc" J. Volcanol. Geotherm. Res.(予定).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] I.KITA and P.MITROPOULOS: "Isotope geochemistry of geothermol waters and associated bubbling gases from the Aegean volcanic arc" Chem. Geol.(予定).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 守屋,奥野、中村、A.SZAKA S and I.SEGHEDI: "ル-マニアCiomadul火山の地形と最終噴火" 地理学評論. ((予定))

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Notsu, K., J.Matsuda, I.Kita, K.Nagao, I.Moriya and P.Mitripoulos: "Geochemistry of volcanic volatiles from the Aegean arc" J.Volcanol.Geotherm.Res.(in preparation).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kita, I.and P.Mitropoulos: "Isotope geochemistry of geothermal waters and associated bubbling gases from the Aegean volcanic arc" Chem.Geol.(in preparation).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Moriya, I., M.Okuna, T.Nakamura, A.Szakacs and I.Seghedi: "The last eruption and geomorphology of Ciomadul volcano, Rumania" Chirigaku-Hyoron. (in preparation).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] K.NOTSU,J.MATSUDA,I.KITA,I.MORIYA and P.MITROPOULOS: "Geochemistny of volcanic gases from the Aegean island arc" Bull,Geol.Soc.Greece. (予定).

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書

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公開日: 1993-04-01   更新日: 2016-04-21  

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