研究課題/領域番号 |
05041087
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 沖縄大学短期大学部 |
研究代表者 |
伊藤 嘉昭 沖縄大学短期大学部, 教授 (50115531)
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研究分担者 |
TAYLOR R.W. CSIRO, 昆虫部門, 研究員
SPRADBERY J. CSIRO, 昆虫部門, 研究員
土田 浩治 岐阜大学, 農学部, 助手 (00252122)
小島 純一 茨城大学, 理学部, 助手 (00192576)
山根 爽一 茨城大学, 教育学部, 助教授 (40091871)
TSUCHIDA K. Faculty of Agriculture, Gifu University
YAMANE S. Faculty of Education, Ibaraki University
KOJIMA J. Faculty of Science, Ibaraki University
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1993年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | チビアシナガバチ / 多女王制 / 社会進化 / 真社会性 / 血縁度 / DNA指紋法 / 電気泳動 / 行動生態学 |
研究概要 |
1.研究経過 (1)初年度:10月〜11月に山根爽一がブリスベンでRopalidia revolutionalisの社会行動を調査し、ついでダーウィンので近縁種R.sp.nr.variegataの社会行動を観察した。そのあとタウンズビルのジェームズ・クック大学では巣分かれ創設型で原始真社会性の種R.mackayensisの巨大な巣を発見し、採集した。 12月には伊藤嘉昭がブリスベン、ダーウィンで、山根が見つけ個体マークを施しておいたR.revolutionalisおよびR.sp.nr.variegataの巣上の行動観察を続行した。またブリスベンでは郊外のグリフィス大学構内で巣分かれ創設・原始真社会性のR.socialistica(以下中間真社会性と呼ぶ)の大きなコロニーを発見した。タウンズビルでは最近チビアシナガバチの研究をはじめたRowe博士と今後の共同研究の仕方について相談した。なおRowe博士らがチビアシナガバチの研究を開始したことは、オーストラリア側研究分担者のSpradberyが調査地、調査種選定のための旅行に知り、知らせてくれたものである。 (2)第2年度:初年度にとったデータの解析や解剖をすすめるとともに、9〜10月にSpradberyを日本に招へいした。これは日本とオーストラリアのチビアシナガバチの行動を両国の研究者が一緒に観察し、2年度調査の重点およびとりまとめにあたっての理論的問題点を決定するためで、その結果中間真社会性の種と高度真社会性種R.romandiの研究がとくに重要なことに意見が一致した。 これにもとずき、小島純一を12月にアサートン高地に派遣し、R.romandiの巣を探索させた。また伊藤嘉昭と土田浩治はまずブリスベンでR.rovolutionalisの社会行動を観察し、グリフィス大学でR.socialisticaの血縁度判定用標本を採集した。ついでタウンズビルにおもむき、Rowe博士の案内でR.romandiの巣二つを完全に採集した。このあと小島純一と合流し、アサートン高地で小島が発見しておいた23もの巣(大型のものはハチ成虫数千匹)から生化学的分析用の個体多数を採集した。これらの標本はすべて、現地でドライアイスを購入し凍結標本として持ち帰った。またタウンズビルとケアンズでこれまで全く調査のない原始真社会性種R.gregaria spilocephalaの巣を発見し、行動観察を行った。 2.結果 (1)チビアシナガバチの社会構造:本属は136種を擁する大属だが、のなかに原始真社会性種、中間真社会性種、高度真社会性種の3グループがあることが判明した。そして第二のグループが多女王制進化上重要な位置を占めると推察された。 (2)R.revolutionalisとR.sp.nr.variegataの社会行動:文部省科研費国際学術研究(昭和61,62,63年度,平成1年度:研究代表者松本忠夫)で伊藤嘉昭・山根爽一が行った調査結果を補足する結果が得られた。 (3)R.gregaria spilocephalaのコロニー創設と社会構造:オーストラリアの大部分の原始真社会性種が多雌創設するのに対して、本種は高頻度で単離創設することが判明した。 (4)R.romandi cabetiの巣の構造と形成過程:本種は女王とワーカーからなるグループで最初にいくつかの巣板を作り、ついで覆いを作ることを明らかにした。また巣の構造のくわしい記載をはじめて行った。 (5)R.mackayensisの巣の構造::本種は多巣板巣を作るが覆いは作らず、しかも露出した場所に巣を作ることを明らかに出来た。巣の構造もはじめてくわしく記載した。 (6)血縁度判定用の凍結標本は岐阜大学で土田浩治、伊藤嘉昭が電気泳動とDNA指紋法で分析を開始したが、膨大な個体数であり、結果を得るには長期間を要すると思われる。
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