研究課題/領域番号 |
05041104
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
田宮 徹 上智大学, 理工学部, 助教授 (30119135)
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研究分担者 |
ZIMMERMAN Ke ニューキャスル(オーストラリア)大学, 理学部, 講師
HEATWOK Haro ノースカロライナ大学(米国), 理学部, 教授
COGGER Harol オーストラリア博物館, 副館長
HARVEY Alan ストラスクライド大学(スコットランド), 薬学部, 教授
BOULAIN Jean サクレー原子力研究所(仏国), タンパク工学, 主任研究員
MENEZ Andre サクレー原子力研究所(仏国), タンパク工学, 部長
鳥羽 通久 日本蛇族学術研究所, 主任研究員 (40109856)
田宮 信雄 名古屋大学, 理学部, 東北大学名誉教授 (90004225)
遠藤 斗志也 名古屋大学, 理学部, 教授 (70152014)
HARRY Alan L. University of Strathclyde, Prof.
BOULAIN Jean-Claude CEN Saclay, Researcher
HEATWOLE Har 米国ノースカロライナ大学, 動物学, 教授
HARVEY Alan. 英国ストラスクライド大学, 薬学部, 教授
HEATWDE Haro ノースカロライナ大学, (米国)・理学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
1995年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1994年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1993年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | ウミヘビ / 神経毒 / 多型 / Laticauda / colubrina / laticaudata / frontalis / 分類 / semifasciata |
研究概要 |
本学術調査は、異なる地域に生息するエラブウミヘビ属の複数の集団を形態・タンパク・遺伝子の3つの異なるレベルで、多型性と相同性について比較し、形態学的に見た種の境界と、タンパク・遺伝子レベルでの境界との関係を明らかにすることと、アオマダラウミヘビ(L.colubrina)と非常によく似ているが、体鱗数が明らかに異なる新種Laticauda frontalis(仮称)の同定を、形態・タンパク・遺伝子のレベルで行うことを目的とした。 第一年度は、トンガ(Tongatapu島Nukualofa周辺、Vavau諸島、Niuafo'ou島)フィージ-(Vidirevu島Suva周辺、Greate Astrolabe Reef内のDravuni島周辺とその北方約30kmに位置するNorth Astrolabe Reef内のSolo島)バヌアツ(Efate島Portvila周辺及び北側沖合い約500mに位置するNiogriki島)ニューカレドニアNumea沖合い約20kmに位置するPorc epic島)の4ケ国に島々を調査した。L.colubrina,L.laticaudataについては調査した全地域で生息が確認された。また本調査の主目的であった新種L.frontalisについては、バヌアツにおいてその生息が確認された。バヌアツでは形態が非常によく似た2種のウミヘビL.colubrinaとL.frontalis及びL.laticaudataが同じ地域に混在して生息していることが明らかになった。ニューカレドニアにのL.laticaudataは他の国々に生息するものと外見上の差異はなかったが、L.colubrinaはL.frontalisに近いことがわかった。 第二年度は第一年度の結果をふまえ、バヌアツとニューカレドニアのGrand terr島全域について調査を行った。バヌアツではEfate島だけでなく、Esprit Santo島においても3種のウミヘビ(L.colubrina,L.laticaudata,L.frontalis)の生息を確認した。今後繝バヌアツの離島に調査し、L.frontalisの生息境界を明らかにする必要があると思われる。ニューカレドニアはバヌアツの南西約500Kmに位置し距離的にはバヌアツのEfate島に近い。今回はGrand terr島の北西に位置するバヌアツにも
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っとも近いLoyaute諸島のOuvea,Lifou,Mareの3島を調査することはできなかったが、Grand terr島に生息するエラブウミヘビ属のウミヘビは2種で、一つはL.laticaudata,もう一種は前年度にPorc epic島で採取したL,colubrinaによく似たL.frontalisに近い種であることがわかった。 第三年度は海外の研究者を日本に招き、本研究の総括を行うとともに、沖縄県石垣島、西表島に生息するエラブウミヘビ属の調査を行った。L.frontalisの生息は確認できなかったが、石垣島ではL.laticaudataがかなりの数生息していることを確認した。西表島においてはL.sej8fasciata,L.colubrina,L.laticaudataの三種の生息を確認した。 本学術調査で採取したエラブウミヘビ属のウミヘビについては分類学的(形態)、生化学的(毒タンパク)、分子生物学的(毒遺伝子)観点から詳細に研究中であるが、現在までに明らかになったことを以下に示す。 個々のウミヘビの毒液をクロマトグラフィーで分析したところ、L.colubrinaの毒性分は個体により異なっていたが、L.frontalisについては個体間での差は無く、神経毒と思われる画分はクロマトグラフィー的に単一であった。さらにニューカレドニア産のL.colubrinaの毒性分のクロマトグラフィーのパターンはL.frontalisのそれと同じであった。短鎖神経毒をコードするcDNAの配列から短鎖神経毒の分子進化を調べた。バヌアツ産L.colubrina,L.laticaudata,L,frontalisは同一地域に生息しているにも関わらず分子進化的にはお互いに距離が離れていた。ニューカレドニア産のL.laticaudataはバヌアツ産のL.laticaudataと遺伝子的に区別することができないのに対し、ニューカレドニア産L.colubrinaはバヌアツ産L.colubrinaとL.frontalisの間にクラスターを形成した。このことからこの種はL.colubrina,L.frontalisの中間の種であることが遺伝子的には示唆されたが、染色体数はいずれの種においても、2n=34であった。形態学的には体鱗数、縞模様などがL.colubrinaとL.frontalisで異なっていた。 以上の結果を総合すると、エラブウミヘビ属に新たな種L.frontalisを加える必要があることがわかった。この種はバヌアツのEfate島およびEsprito Santo島に生息することは本調査で明らかになったが、その生息境界については今後の調査を待たねばならない。さらにニューカレドニアに生息するエラブウミヘビ属の二種のうちL.colubrinaと考えられていた種はL.frontalisの亜種とするべきであることがわかった。 隠す
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