研究課題/領域番号 |
05041107
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
栗山 喬之 千葉大学, 医学部, 教授 (20009723)
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研究分担者 |
肖 和平 チベット結核対策センター, 所長
SHRESTA G.P. トリバン大学, 医学部, 教授
早野 真史 千葉大学, 医学部, 助手 (10272329)
小野崎 郁史 結核予防会, 研究員
小林 敏生 東京商船大学, 助教授 (20251069)
木村 弘 千葉大学, 医学部, 講師 (20195374)
田中 美智子 鹿児島純心女子大学, 講師 (30249700)
増田 敦子 千葉大学, 医学部, 助手 (70165710)
増山 茂 千葉大学, 医学部, 助手 (00219354)
福田 康一郎 千葉大学, 医学部, 教授 (10009649)
河野 俊彦 国際武道大学, 教授 (50092052)
榊原 吉一 金沢工業大学, 教授 (50092060)
能川 浩二 千葉大学, 医学部, 教授 (40019584)
三方 淳男 千葉大学, 医学部, 教授 (40051289)
G.P Shresta Tribuban University Hospital Professor
XIAO He-Ping Tibet Tuberculosis Control Center Director
ACHARYA G.P トリバン大学, 医学部, 教授
巽 浩一郎 千葉大学, 医学部, 助手 (10207061)
本田 良行 千葉大学, 医学部, 名誉教授 (30019525)
ACHARYA G.P. トリバン大学, 医学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
1995年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1994年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1993年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | Hypoxia / Highaltitude / Adaptation / Tubercnlosis / Hodgkin Disease / EB virus / Gastric cancer / Lymphoma / High Altitude / Highlander / Tuberculosis / Mountain Sickness / Carotid body / Carotid Body / Respiratory Control / Living Environment |
研究概要 |
1。ネパールヒマラヤの麓にあるベパール・クンプー地域では呼吸生理学的調査研究を行った。低地居住者の高所滞在中において,安静時換気量・指尖脈派酸素飽和度(SpO2)の息堪えによる変化・およびそれに及ぼす酸素吸入による変化を、標高1300m,2827m,3440m and 4430mにおいて測定し,高所における呼吸調節機能の適応について検討した。高所滞在による低酸素への馴化の結果、低酸素換気応答あるいは高炭酸ガス換気応答閾値が改善し呼吸中枢の換気ドライブが上昇したことによる結果が得られた。しかし一方,馴化の全過程を通じて酸素投与は息堪え時のBreakpoint SpO2を高くする効果をもたらしており、低酸素性換気抑制が高所滞在初期の呼吸の化学感受性低下時期においてのみならず、馴化したと思われる全経過を通じて依然として存在し呼吸調節系を修飾していると考えられた。これらの低地居住者は、出発前日本において人口気象室を用いて事前に同様の検査を行っているが、急性の低圧低酸素暴露はより強い換気抑制を伴うことが明らかになっている。この結果の一部は1996年日本衛生学会総会・1996年米国胸部疾患学会にて報告した。この研究には,トリバン大学医学部・ヒマラヤ救助協会の協力を得た。 2.人口の集中するネパールの首都カトマンズ地域では、EBウイルス感染と胃癌やリンパ腫などとの関係を調べるための血清学的・ウイルス学的・病理学的調査を行った。トリバン大学医学部付属病院病理およびCMNパタン病院における過去5年間の症例からリンパ腫,胃癌切除あるいは生検例を抽出し,EBER-1 ISH法によるEBV検索,免疫染色によるLMP-1の検出と,胃癌例についてはW-S染色,免疫染色によるH.ピロリ同定を行った。非ホジキンリンパ腫16例中1例(Barkitt type),ホジキン病8例中7例で、LMP-1,EBV陽性であり、発展途上国の特徴を示した。胃癌54例中,低分化型が38例ともっとも多かった。そのうちの14例,粘液癌2例中1例で、周辺正常粘膜にH.ピロリの感染がみられたが、高分化・中分化型の計13例ではすべて陰性であった。EBER-1 ISH陽性のEBV関連胃癌は54例中1例のみであり本邦と比べて低く(1.8%vs.4-6%),さらに詳細な調査が必要であると考えられた。この結果の一部は“ネパール王国におけるEBV関連腫瘍"という題にて第85回日本病理学会総会にて発表した。上に述べた2つの施設のほか、国立小児病院、国立中央検査センターの協力も得た。 3.中国のチベット・ラサでは、高所にしか生育できない牛(ヤク:Bos grunniens)の肺胞構造の光学顕微鏡的および電子顕微鏡的研究をおこなった。光学顕微鏡的には,肺胞腔は廣く、肺胞壁は比較的薄いため肺気腫様構造を呈した。しかし,エラスチカ・ワンギ-ゾン染色標本では弾力繊維がヒトの肺に比べて太くかつ明瞭に認められた。走査電子顕微鏡による観察では,II型肺胞上皮細胞がヒトに比べて比較的少なく、kohnの孔はラットに比べてやや大きくその数も多かった。肺気腫様変化が長期の低酸素環境生存に有利であるとは考えにくいが、広い肺胞腔と太い弾力繊維に富む肺胞壁の組み合わせが長期的な低酸素環境への肺胞構造の形態的順応である可能性が考えられ,更なる研究が必要となると思われた。この研究の一部は登山医学第15巻に発表した。 中国・チベットラサ地域ではまた、主として肺結核症に起因する慢性の胸部疾患罹患と、右心不全を伴う慢性呼吸不全患者の調査を行った。チベットの肺結核の現状は世界でも最悪の部類に入るが、将来の治療打開策に関する討議も行った。中国・チベット地域では、チベット結核対策センターの協力を得た。この調査の一部は日本結核病学会総会において発表した。 成果は、別紙に記すとおりであるが、この他、日本胸部疾患学会総会・日本臨床生理学会総会・日本登山医学シンポジウムや第7回世界低酸素シンポジウムにおいても本研究の成果を発表している。
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