研究分担者 |
LOURDES Arel Vicenke Gardia病院, 眼科, 主任
PAOLA P.Pezz Roma大学, 医学部La Sapienza, 教授
GERASSIMOS D Athens大学, 医学部, 助教授
KHALID F.Tab King Saud大学, 医学部, 教授
李 国強 中国新彊大学, 生物学, 教授
庚 鎮城 復旦大学生命科学院, 教授
伊藤 典彦 横浜市立大学, 医学部, 助手 (80264654)
杉田 美由紀 横浜市立大学, 医学部, 講師 (90235888)
中村 聡 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00237398)
小野江 和則 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (40002117)
猪子 英俊 東海大学, 医学部, 教授 (10101932)
PEZZI Paloa Roma Sapienza University, Italy
ARELLANES Loudes Vicenke Garcia Hospital, Mexico
TABBRA Khalid King Saud University, Saudi Arabia
LI Guoku Shinchan University, China
PALIMERIS Gerassimos Athen University, Greece
TABBARA Khal King Saud大学, 教授
SECCHI Anton Padova大学, 医学部, 教授
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研究概要 |
我々はモンゴロイドに多発する難治性ぶどう膜炎の人類遺伝学的、分子生物学的発症機構の解析を進めてきた。ヒトの主要組織適合抗原であるHLA抗原遺伝子群は特異的免疫応答を遺伝的に規定する重要な遺伝子群である。我々はこれまでモンゴロイドに多発する難治性ぶどう膜炎の多くがこのHLA遺伝子と密接に相関することを世界に先がけて明らかにしてきた。 ベ-チエット病は人種を越えてHLA-B51抗原と相関する疾患である。 ベ-チット病の分布はHLA-B51抗原の分布と一致していることから、シルクロード周辺諸国に多いことが想定されてきたが、これまでシルクロード周辺諸国におけるHLAの解析は行われておらず、我々の研究はベ-チエット病の解析のみならずこられ少数民族の遺伝的位置づけを行う上からも重要である。昨年採取した漢民族、ウイグル族、カザフ族のHLA解析を行った結果、HLA-B51抗原頻度は健常人では7〜11%に認められたのに対しベ-チエット病患者では30%と有意に増加していた。本年調査した回族では、ベ-チエット病患者は認められなかったが、健常人43人についてのHLA解析を行っている。本年度はさらに中近東のサウジアラビア、ヨーロッパ地中海沿岸のギリシャ、イタリアにおいて、ベ-チエット病患者の調査、診察を行い、HLAクラスI抗原の血清学的タイピングを行った。今後もシルクロード周辺諸国の少数民族について検索してゆく予定である。 原田病はメラノサイト特異的自己免疫疾患の一つと考えられているぶどう膜炎である。原田病は我々東洋人、インディオに多く見られるが白人には稀であり、発症頻度に民族的偏りが認められる。これまでは日本を中心に臨床基礎研究が進められてきた。原田病もHLAとの強い相関を示し、血清学的HLAタイピングではHLA-DR4,DR53との相関が明らかにされてきた。我々はさらにDNAレベルでの解析を行った結果、日本人患者においてはHLA-DRB1*04(0405/0410)、HAL-DQB1*04(0401/0402)との強い相関を認めた。日本人以外の民族での初めての原田病のHLA解析として、昨年度調査を行ったアルゼンチンの原田病患者のHLA遺伝子解析では、DRB1遺伝子では、HLA-DRB1*04(0404)という日本人と共通の遺伝子相関を認めたのに対し、DQ遺伝子ではDRB1*0302という異なる相関が認められたことから原田病の疾患感受性遺伝子としてDRB1*04遺伝子の可能性が示唆された。ブラジルの原田病患者については現在解析中である。本年はさらに中近東のサウジアラビア、ヨーロッパ地中海沿岸のギリシャ、イタリアにおいても患者診察および調査を行い、HLAクラスI抗原の血清学的タイピングを行った。原田病の民族学的発症頻度の偏りからすると、これらの国々では原田病の発症そのものが非常に稀であることから、この結果は疾患感受性遺伝子の解析において重要な手がかりになると期待される。今後はさらに、人種の坩堝であるアメリカとの共同研究を予定している。さらにわれわれは国際学術研究の足がかりとして、サルコイドーシスとHTLV-I associated uveitis(HAU)についても、日本人患者のHAL解析を行った。サルコイドーシスでは血清学的レベルではHLA-DR52関連抗原であるHLA-DR5、DR6、DR8が、DNAレベルではDRB1*1101,1201,1401,0903が患者群で有意に増加していた。これらはDRB1遺伝子に共通のアミノ酸配列を持つグループであり、サルコイドーシスの疾患感受性に関連していることが示唆され。今後、同じ東洋人である中国やサルコイドーシスの多い北欧諸国でのHLA相関についての検討が望まれる。一方、HAUは全身的には健康なHTLV-Iキャリアーにぶどう膜炎を伴う疾患である。HTLV-Iの感染は西南日本、沖縄に多い他、世界各地に広がっており、とくにカリブ海諸国、中央アメリカ南米諸国にendemic areaがある。現在日本人患者についてHLAの解析を行っており、将来的にはこれらの諸国での調査も行いたいと考えている。
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