研究課題/領域番号 |
05041119
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
竹内 芳親 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (90032094)
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研究分担者 |
JENSEN Merle アリゾナ大学, 農学部, 教授
高倉 直 東京大学, 農学部, 教授 (50011929)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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キーワード | 沙漠 / 静止画 / 電話 / 情報通信 / 遠隔地 / 作物栽培 / 生育診断 / スチルカメラ |
研究概要 |
沙漠を持たない我が国で沙漠化防止や乾燥地農業など沙漠に関する研究を進める上で最も大きな隘路は研究の現場が身近に無いことである。 本研究は、この障害を解消する具体的方法として、一般加入の電話回線による静止画通信やデータ通信の技術を利用した遠隔地からの研究情報通信による新しい研究手法を模索するための基礎研究である。 遠隔地からの研究情報通信は「研究情報通信システム」(リアルタイムでしかもビジュアルな画像)を使用し研究現場をアメリカ・アリゾナ大学とし、その研究指針の発信と研究成果情報の交信基地を鳥取大学乾燥地研究センターとする研究情報のネットワークシステムの稼動試験を実施した。 1.研究情報通信システムの概要 電気通信を利用した静止画像やデータを一般加入の電話回線によって自働交信し、この画像やデータから遠隔地の研究情報が入手出来るシステムとなっている。 システムは、スチルカメラ、静止画電送装置、光ファイルレコーダー、モニターテレビ等の機械で構成されておりその最大の特徴は、電送された映像の画質が良いこと、画像伝送に必要な時間が短い(2分以内)、そして一般加入電話回線が利用できる等数々の特徴を持っている。したがって、本研究の画像伝送や情報交信は一般加入の電話回線(ATT、KDD、NTT)を利用した。 2.本年度の調査研究結果 1)作物の生育診断に必要とする情報の交信とその実用性の検討 (1)スチルビデオカメラによる撮影は普通の撮影では全く問題はないがマクロ撮影は個人差がありカメラの脚固定が必要と考えられた。また特殊なカメラであるため、沙漠の高温が画質への悪影響が心配されたが、今回のテストにより、一般的なカメラ使用では問題は起きなかった。 (2)伝送の画質と時間及び回線状況の検討。まずアリゾナからの画像データは国内で実施した画質と比較してほぼ同等であった。次に、伝送の時間は1分50秒(一枚の平均)であった。しかし電話回線の状況で伝送時間は異なり最長は2分40秒、最短で1分30秒となった。 以上の通り通常の沙漠エリアにおけるカメラの使用は問題ないと判断した。 2)作物の栽培実験 栽培現地をアリゾナ、栽培指針の発信を鳥取大学とする作物栽培の研究は予算の関係もあって長期間の研究は出来なかったが本研究の初期目的は達成したと考えている。即ち、作物栽培の現地に栽培経験の浅い研究者(大学院学生)をアリゾナ大学に配置して温室内で水耕栽培によるホウレンソウ栽培を2回行いその栽培に成功した。 栽培研究は今後詰めなければならない課題は残るが本システムの栽培利用に対する有効性が示唆された。 3.「研究情報通信システム」に対するアメリカ側研究者(アリゾナ大学)は以下の2点を指摘した。 (1)先進国から発展途上国への作物生産技術の伝達手段として最も有効である (2)遠隔地への学習教育に利用するならば、静止画像を生きた教科書としてその役割は非常に大きい。 4.システムの沙漠地利用への今後の課題について検討した。その結果今回の研究では問題はないが、過酷な沙漠の自然条件への対応として、カメラなどの可動部分の防塵対策、温度対策(強力な日射に対する保護)、電源対策(電源の無い場所)、通信回線の確保、などは今後検討の必要がある。
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