研究概要 |
日本人が、ハワイに移住して、120年余りになる。今日では、「中国人がハワイを所有し、日系人が統治し、白人がハワイをエンジョイする」とまで言われるようになった。日系アメリカ人がハワイを統治できる力を持った主因はどの人種よりも、子弟の教育に力を入れた事にあると言われている。 本研究は、ハワイの日系アメリカ人研究者と共同して、第二次世界大戦前を中心に、ハワイにおける日系アメリカ人教育を解明することを目的とする。 本年度の調査研究実施計画は、先ず、国内、国外のハワイ教育史および日系アメリカ人教育に関する資料収集に全力を注ぐ。したがって、国内では、国立国会図書館、外交史料館、移民図書館(和歌山市)など、国外では、ホノルルにあるハワイ大学の附属図書館、州立図書館、公文書館、マッキンレイ高等学校などを訪問し、資料の調査・収集を実施した。平田宗史を中心に収集したハワイ教育史関係資料は、公刊された書物で100冊を超え、入手出来ない資料のコピーで、1万枚を超えた。公刊された資料は、つぎのとおりである。 (1) 小沢義浄編 『ハワイ日本語学校教育史』 ハワイ教育会 1972年。 (2) ハワイ日本人移民史刊行委員会編 『ハワイ日本人移民史』 布哇日系人連合協会 1964年 (3) 布哇教育会編纂部編 『布哇日本語教育史』 布哇教育会 1937年 コピーした主な資料は、つぎのとおりである。 (1) Bejamin O.Wist,A Cetury of Public Education in Hawaii,October 15,1840〜October 15,1940,Honolulu Star-Bulletin,1940. (2) George Allen,Education in Hawaii,1820〜1893,George Allen Odgers,June 1933,(スタンホ-ド大学の博士論文,未公刊) (3) Biennial Report of the President of the Board of Education to the Legislature of the Hawaiian Kingdom,Report of the Superintendent of Public Instruction to the Governor of the Tesritry of Hawaii,などの教育年報(1892-1945)。 以上は、研究分担者それぞれの共通基本資料である。さらに、それぞれの研究分担者は、それぞれ、研究テーマにかかわる資料を収集している。そして、それらを整理し、分析中である。(一)平田宗史は、「M.M.Scottと日系アメリカ人教育」を研究テーマとして鋭意研究している。昨年の『日本奨学会奨学金及び研究助成金給付20周年記念行事』において、「学制120年とスコットと日米奨学会」という題目で講演し、そしてそれを小冊子にしそれは、公刊された。そして、「御雇外国人教師エム・エム・スコットの研究」を執筆中で、平成6年度の文部省の出版助成が認められれば、来年度、出版する予定である。(二)吉田一衛は、「日系アメリカ人一世の英語教育」とのテーマで、資料収集したが日系一世の方々は、殆んど故人となられているので、インタヴューをしようとしても出来ない。ただ、一つの方法として、わずかの自叙伝などを通じて、その実態を明らかにしようとしている。(三)飯田史也は、「日系アメリカ人の二世・三世の日本語(人)教育」というテーマで、資料収集したが、かなりの資料を収集できた。只今、その資料を分析中である。そして、研究成果を、外国人に対する日本語教育において生かしている。(四)平田トシ子は、「日系アメリカ人の女子教育」というテーマで、資料収集したが、これも、かなりの資料を収集できた。その資料を分析中であるが、講義および講演でも、それを活用している。(五)ミツオ・アダチは、「ハワイ公教育史と日系アメリカ人-人種間にみる就学率・進学率の変遷-」というテーマで資料を収集し、研究中である。前掲の「ハワイの教育年報」を通して、それを整理されている。 以上の報告でお分りのように、研究の一年目であるので、平田宗史以外は、資料収集および整理の段階である。
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