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異なる文化背景における日本語教授・学習過程の分析と教材の最適化に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 05044002
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関筑波大学

研究代表者

西村 よしみ  筑波大学, 文芸・言語学系, 教授 (40208228)

研究分担者 當作 靖彦  カリフォルニア大学, サンデイエゴ校, 準教授
畑佐 由紀子  アメリカ合衆国 ハデュ大学, 文学部, 助教授
田中 和美  英国 ロンドン大学, ソアス研究所, 講師
直井 恵理子  メキシコ ヌエボレオン州立大学, 文学部, 講師
畑佐 一味  アメリカ合衆国 ハデュ大学, 文学部, 助教授
MCCARITHY Br  オーストラリア ウロンゴン大学, 外国語学部, 助教授
WELLS Margur  オーストラリア ウロンゴン大学, 外国語学部, 助教授
吉崎 静夫  日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20116130)
大坪 一夫  東北大学, 文学部・日本語学科, 教授 (20115538)
山元 啓史  筑波大学, 文芸・言語学系, 助手 (30241756)
小林 典子  筑波大学, 文芸・言語学系, 講師 (00241753)
酒井 たか子  筑波大学, 文芸・言語学系, 講師 (40215588)
加納 千恵子  筑波大学, 文芸・言語学系, 助教授 (90204594)
市川 保子  筑波大学, 文芸・言語学系, 助教授 (70223089)
KAISER Stefan  筑波大学, 文芸・言語学系, 教授 (20260466)
周 錦樟  筑波大学, 外国語センター, 外国人教師
畑佐 由起子  パデュー大学, 外国語文学部, 助教授
MARGUERITE W  ウロンゴン大学, 外国語学部, 助教授
STEFAN KAISE  筑波大学, 文芸・言語学系, 教授
栃木 由香  筑波大学, 留学生センター, 非常勤講師
清水 百合  筑波大学, 留学生センター, 非常勤講師
研究期間 (年度) 1993 – 1994
研究課題ステータス 完了 (1994年度)
配分額 *注記
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1994年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
キーワード文化依存非依存 / 認知・情意過程 / 意思・決定過程 / 再生刺激法 / 日本語授業の最適化 / 文化適応 / 教授・学習行動 / 意思決定過程 / 教材の最適化 / 文化的要因
研究概要

1. 本年度の研究は,日本語の授業における学習者の認知・情意過程と教師の意思決定の過程を実証的に検討することを目的とし,そのために,前年度と同じ研究枠組みで以下の調査を行った。
(1)日本語授業における学習者の認知・情意過程を把握するための方法論の検討を行った。
(2)学習者の日本語学習における認知(思考・理解)がダイナミックに変容していく過程を把握することによって、どのように日本語が習得されていくかを明らかにした。
(3)日本語習得過程において学習者がどのようなストラテジーを用いているかを明らかにし,学習者トレーニングの方法を検討し,学習者の自律学習を促す方法を検討した。
(4)授業において教師は学習者の認知過程をどのよう把握しながら意思決定をしているかの検討を行った。
本年度は,オーストラリアのウロンゴン大学を重点調査校とし,日本語教育の専門家と教育工学の専門家の協力により調査を行った。特に(4),教師の意思決定過程の調査では,オーストラリア人日本語教師と日本人教師の比較を行った。
ウロンゴン大学での調査の結果は以下のものである。
(1)日本語教育の専門家でない日本人日本語教師は,教科書依存型であり,教科書に記述されていない言語知識の説明に関しては自信がなく,沈黙の時間が長く教科書依存型の教授法を行っている。海外では,日本語教師が不足しており,日本語教育を専攻していなくても教壇に立ち,日本語を教えなければならないという事情があり,海外での日本語教育の特殊性が明らかになった。
(2)日本人教師,オーストラリア人の教師であってもコミュニカティブアプローチで教えるのは難しいということが分かった。このことは,他の調査校でも同じで教師が正誤だけでなく適・不適を判断しなければならなくなり,海外の滞在が長い教師には判断が難しくなる。
(3)学習者の認知過程に関しては,授業時間が少なく,日本語との接触が少ないため記憶や連想などのストラテジーの使用が少ない。また,筑波大学のような文化依存型の日本語授業と違って動機の低下,情意過程の停滞が見られた。海外の学習者の日本語習得に関する認知過程,日本語に接触する機会が教室だけに限られており,授業計画,教授法,教材等の重要性が明確になった。
2. アメリカのカリフォルニア州立大学サンディエゴ校では,漢字の学習における学習者の認知過程の調査を行った。日本語の「読 … もっと見る み」「書き」に対する印象は,楽観的とは言いがたいが,「漢字は自習できる」と自負していることが分かった。
3. 「日本語教育における文化と科学を考える」というテーマで国際シンポジウムを開催した。海外からの研究分担者にパネリストとして参加し,意見交換が行われた。
パネリストの発表は以下のものである。
・「SFJ」の使用例…メキシコヌエボレオン州立大学の場合 直井恵理子
・日本語自他動詞使用は習得可能か不可能か 小林典子
・教師と教材使用 …オーストラリア4大学訪問報告‥ 市川保子
・米国中世部のカリキュラムにおける第二言語教材の適応性 畑佐由紀子
・海外での日本語教育における文化の役割 當作靖彦
5. 本年度の研究成果は以下のものである。
・学習ストラテジーと学習者習得レベルとの関係
成績上位の学習者のストラテジー使用は,下位者のものより多様で,特に先行オルガナイザーの使用は顕著である。また,筑波大学のような文化依存型での日本語教育では,コミュニケーションストラテジーおよび補償ストラテジーの使用が多く,その定着が早い。
・教師の意思決定過程におけるエキスパートとノヴィス,ネイティブの教師の授業行動の対照の分析結果はノヴィスや海外ネイティブの教師は,言語知識の正誤判断より適・不適の判断が難しいことが分かった。教材を生かせない教師のタイプとして,(1)こだわり型(2)飛躍しすぎ型(3)指示待ち型の3つの特徴が表れ,文化非依存の環境で日本語を教える日本語教師に対するトレーニングが必要である事が分かった。
・学習者の情意・動機が言語習得に与える影響
日本で日本語教育を行う文化依存型の教育では,動機や情意的なものが回りの環境によって支えられるが,海外では,学習者が日本・日本語に対する興味を失わないように,ビデオ教材,マルチメディア型のCAI教材等の情報提供が必要である。
・文法の背後にある文化的要因
学習者の文化背景は学習の仕方,学習ステラテジ-などに密接な関係があり,教授法やシラバスを考える際に十分に考慮されなければならない。このように文化と言語教育が深くかかわっているにもかかわらず,長い間,文化にはあまり注意が払われず,現在も言語学習における文化の役割や文化的能力の発達プロセスの研究が進んでいない事が分かった。初級日本語レベルにおける文法教育でも文化的コンテキストを使用することが重要な点である。とくに待遇関係などは,「ウチ」「ソト」の文化概念との関係で説明されなければならないし,省力表現は,「未練」(牧野成一)の概念などと関連があると考えられている。文化要因を意識した上で,これらの文法項目の練習が必要である事が明らかになった。
今後の課題
今後の課題として,(1)教材情報のデータベース化(教師支援)(2)各大学教授法のビデオ作製 (3)学習社の情意・動機言語習得における影響の調査方法の検討 (4)文法の背後にある文化的要因の調査方法論の検討など多くの課題が残されている。これらの件については平成7年度に研究報告書として,この2年間の成果をまとめるつもりである。 隠す

報告書

(2件)
  • 1994 研究成果報告書概要
  • 1993 実績報告書
  • 研究成果

    (18件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (18件)

  • [文献書誌] 西村よしみ: "「依頼」の適切さと丁寧さ" 筑波大学留学生センター日本語教育論集. 11(印刷中). (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 清水百合: "漢字学習における問題意識について(2)" 筑波大学留学生センター日本語教育論集. 10. 29-40 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 直井恵理子: "「SFJ」の使用について -ヌエボレオン州立大学の場合-" 「日本語教育における文化と科学」予稿集. 8-11 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 小林典子: "日本語自/他動詞の使用 教授可能か教授不可能か" 「日本語教育における文化と科学」予稿集. 12-16 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 畑佐由紀子: "米国中世部のカリキュラムにおける第2言語教材の適応性" 「日本語教育における文化と科学を考える」予稿集. 21-25 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 當作靖彦: "海外のでの日本語教育における文化の役割" 「日本語教育における文化と科学を考える」予稿集. 26-29 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] NISHIMURA,Yoshimi: "Appropriateness and Politenes of Request Expression" Journal of Japanese Language Teaching. 11 (in press). (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] SHIMIZU,Yuri: "Learners' Views on Problems in Kanji Learaning (2)" Journal of Japanese Language Teaching. 10. 29-40 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] NAOI,Eriko: "Using Situational Functional Japanese -the case of Nuevo Leon State University-" Rethinking of Science & Culture in Japanese Language Teaching. 8-11 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] KOBAYASHI,Noriko: "Use of Japanese transitive/intransitive Verbs : learnable or Unlearnable" Rethinking of Science & Culture in Japanese Language Teaching. 12-16 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] HATASA,Yukiko: "Adaptability of L2 Materials to Foreign Language Instruction in the US Midwest" Rethinking of Science & Culture in Japanese Language Teaching. 21-25 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TOHSAKU,Yasu-hiko: "The Role of Culture in the Teaching of Japanese as a Foreign Language" Rethinking of Science & Culture in Japanese Language Teaching. 26-28 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 西村よしみ: "初級日本語教育における学習者の認知過程" 日本科学教育学会第17回年会論文集. No.17. 289-290 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 西村よしみ: "初級日本語授業における学習者の認知過程と学習ストラテジーに関する研究(2)-内的過程を把握する研究方法と技法の開発について-" 筑波大学留学生センター日本語教育論集. 9. 133-148 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 西村よしみ: "初級日本語授業における学習者の認知過程と学習ストラテジーに関する研究(3)-研究技法の開発とカテゴリー化-" 日本教育工学会研究報告書. 1. 17-21 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 西村よしみ: "初級日本語クラスにおける学習者の認知過程と学習ストラテジー" 日本語教育方法研究会誌. 1. 20-22 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 清水百合: "漢字学習における学習者の問題意識について-自立学習への過程-" 日本科学教育学会第17回年会論文集. No17. 291-292 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 清水百合: "漢字学習のあり方に関する学習者の問題意識調査(1)" 筑波大学留学生センター日本語教育論集. 9. 51-60 (1993)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書

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公開日: 1993-04-01   更新日: 2021-04-07  

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