研究課題/領域番号 |
05044006
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松沢 哲郎 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60111986)
|
研究分担者 |
HERBERT Terr コロンビア大学, 心理学部, 教授
友永 雅己 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (70237139)
藤田 和生 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (80183101)
小嶋 祥三 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70027499)
TERRACE Herbert Dept. of Psychology, Columbia Univ.
HERMSTEIN Ri ハーバード大学, 心理学部, 教授
TERRACE Herb コロンビア大学, 心理学部, 教授
RICHARD Herr ハーバード大学, 心理学部, 教授
MURRAY Sidma ニューイングランド自閉症研究センター, 研究員
IVER Iversen 北フロリダ大学, 心理学部, 準教授
|
研究期間 (年度) |
1993 – 1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
1995年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1994年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1993年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
|
キーワード | 比較認知科学 / チンパンジー / 視覚情報処理 / 言語機能 / 視覚探索課題 / 表情認知 / 強化の随伴性 / 道具使用 / 知性 / 言語 / 推論 / 錯視 / 視覚探索 / 進化 / 霊長類 / 記憶 / ラテラリティー / 行動分析 |
研究概要 |
比較認知科学(CCS)という新しい研究分野から、知性の比較研究をおこなった。研究組織は日米に別れる。日本の霊長類研究所のグループは、1978年以来、チンパンジーの知性にかんする実験的分析をおこなってきた。 アイという名のチンパンジーをはじめ10個体が研究所に1群として飼育されており、さまざまな角度から知性の実験的研究をおこなっている。アメリカのコロンビア大学のテラス博士のグループは、ハト、マカクザルを対象に、視覚認知や記憶の研究をおこなってきた。 平成7年度の実績としては、まずアメリカの研究チームから、タフツ大学のクック博士を招へいして共同研究をおこなった。クック博士は、ハトの視覚情報処理研究の第1人者である。犬山の霊長類研究所で、比較認知科学のシンポジウムを開催しただけでなく、京都大学、金沢大学でも、精力的に講演・討論をおこなった。とくに霊長類研究所の友永らは、チンパンジーで視覚探索課題(ビジュアル・サーチ)の研究をおこなってきたので、クックと共同研究について精力的な討議がおこなわれた。ニホンザルの継時パタンの系列記憶にかんする研究をおこなっていた大芝は、クックから研究指導を受けた。 こうした国際的な共同研究の背景のもとに、本研究チームは、チンパンジーおよびニホンザルを主な研究対象として、視覚情報処理、言語機能、道具の使用、記憶、といった広範なテーマについて、知性の比較研究を認知科学的な視点からおこなった。以下に成果を箇条書きにする。 1) チンパンジーに漢字・図形文字を教え、色の名前をこれらの視覚シンボルで表現できるようにした。現在、カラー・ストループ効果の検討に向けて、研究を継続中である。カラー・ストループ効果は、意味情報の処理と知覚情報の処理とが競合する場面であり、ヒト言語の特徴をチンパンジーが習得した「言語」と比較対照するうえでクリティカルな実験である。 2) 幾何学図形の錯視、具体的にはポンゾ錯視について、ひと、チンパンジー、マカクザル、ハトで比較研究をおこなった。基本的にはどの種でも錯視の生じることが確認された。ただし、錯視量を刺激の提示方向や遠近図的背景の操作を通じて測定すると、それぞれの種に応じた知覚世界であることが示唆された。 3) 視覚探索課題をもちいて、ヒトとチンパンジーの視覚情報処理の類似点と相違点を検証した。 4) 表情認知、運動する視覚刺激と遮蔽の効果、などその他の視覚情報処理のトピックスについても検討すると同時に、視覚と聴覚のマッチングにかんする実験的研究をおこなった。 5) 強化の随伴性、選択行動、ト-クン(代理性貨幣)について、チンパンジーを被験者とした実験的研究をおこなった。 6) 粘土遊び、手品、などについて、検討した。 7) 視覚・聴覚だけでなく、嗅覚にかんする予備的研究を人工ナッツ法と呼ぶ手続きで検討した。味覚についても検討した。 8) オランダのア-ネム・コロニーのチンパンジーを対象にして、半野生に近い状況での対象操作、道具使用の個体発達の過程を検討した。
|