研究分担者 |
白石 裕 京都大学, 教育学部, 助教授 (50025110)
和田 修二 京都大学, 教育学部, 教授 (50025102)
上杉 孝実 京都大学, 教育学部, 教授 (90031707)
稲垣 忠彦 滋賀大学, 教育学部, 教授 (00012550)
高橋 靖直 玉川大学, 文学部, 教授 (80138586)
小原 芳明 玉川大学, 副学長 (30074199)
鈴木 慎一 早稲田大学, 教育学部, 教授 (00063545)
市村 尚久 早稲田大学, 教育学部, 教授 (30063556)
佐藤 学 東京大学, 教育学部, 助教授 (70135424)
葉養 正明 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (30114119)
推名 萬吉 千葉大学, 教育学部, 教授 (40009014)
高倉 翔 筑波大学, 教育学系, 教授 (50030268)
宮本 健市郎 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (50229887)
HAWLEY Willis d. Dean, College of Education, University of Maryland
GLENN Allen d. Dean, College of Education, University of Washington
MIZOUE Yasushi Professor, College of School Education, Hiroshima University
TAKEMURA Shigekazu Professor, College of Education, Hiroshima University
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研究概要 |
本年度には今までの研究成果を2冊に分け,日本の教員養成に関する制度,教育実習,初任者研修,現職研修・継続教育並びに日本の教員の特質等について,本研究の代表者及び分担者が執筆し,アメリカの教員養成では代表的なピ-ボディ・ジャーナルで公刊した。本研究では日米各10大学間において共同研究グループを組織し,それぞれのグループが共同のテーマを定めて比較研究討議を行っているが,この論文集はその視点から日本側の研究者が英文で執筆したため,アメリカの研究者には好評を博している。 日本の教員養成制度では,学部段階の準備段階教育は大学が責任を持つが,教員就職後の現職教育については大学から全く離れてしまい,教育委員会や教育センターが中心となって現職研修を行っている。他方アメリカでは教員として就職した後も,個人の責任で大学院に通い,修士の学位を取得する。既に教員の半数以上が修士になっている州もあり,今後教員全員が5年以内に修士となり,更に20%を博士にするような勧告が出ている。日米の教員を比較すると,日本では教員は就職すると,校内研修によって先輩教員から教科の指導法,学級経営等を個別に丁寧に教えこまれるため,初任者段階及び若年層では日本の教員の質が断然高い。他方アメリカでは自立して考えて教育ができる教員を目指して大学院での継続教育が行われているため,中年以上の経験を経た教員について見ると,日本よりは質が高い。 その意味で大学院レベルにおける現職継続教育の意義が大きいが,兵庫教育大学等新教育大学15年の経験により,日本においても現職教員の大学院教育が確立したと云える。自立して研究し得る能力を有する教育専門職の養成が急務であり,日米の教員の比較からも,現職教員教育における大学の役割がますます重要になると考えられ,博士課程の設置並びに,大学と教育委員会とが協力して指導に当たる体制の確立が重要である。 アメリカでは教員研修が従来手薄であっため,Professional Development Schoolを学校区毎に作り,初任者教員の研修,地域の教材開発等のセンターとする計画が開始された。この面では日本の教員研修制度が良い参考となると考えられ,日米双方がお互いの特徴を研究することは有益なことである。 アメリカでは現在理数科の教育改革が進行中であるが,Science for All Americanから出発し,Project2061として次世代のアメリカの学校ではどのような理科,数学及びテクノロジーを扱うべきかが全国的規模で議論が進んでいる。昨年末にBenchmark for Science Literacyが出版され,具体的な目標等が論議される段階となった。先のアメリカ教育大学協会においてもこのことが一つの中心的議題として大きく取り上げられ,アメリカの教員養成組織においても重要な課題として位置付けられている。今後本研究グループにおいてもこのような具体的なテーマを取上げ,日米共同研究の実を挙げる所存である。
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