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国際的相互依存の進展と各国政府における政策決定システムの変容

研究課題

研究課題/領域番号 05044014
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関北海道大学

研究代表者

山口 二郎  北海道大学, 法学部, 教授 (70143352)

研究分担者 マグル アンソニー  オープン, ユニヴアシティ, 講師
ヘルド デヴィット  オープン, ユニヴアシティ, 教授
川崎 修  北海道大学, 法学部, 教授 (80143353)
MCGREW Tony  Open University, Prof.
HELD David  Open University, Prof.
アンソニー マグル  オープン, ユニヴァシティ, 講師
デヴィッド ヘルド  オープン, ユニヴァシティ, 教授
アンソニー マグルー  オープン, ユニヴァシティ, 講師
デヴィッド・ヘルド ヘルド  オープン, ユニヴァシティ, 教授
研究期間 (年度) 1993 – 1995
研究課題ステータス 完了 (1995年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1994年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
キーワード民主主義 / 国際化 / 国家 / 権力 / 政策 / 政策決定 / 政治権力
研究概要

研究計画の最終年度に当たる今年は、経済のグローバル化が各国の国内政治体制に与える影響について総括的なまとめを行い、ポスト主権国家時代における民主主義体制の新たなモデルの構築を行うことが目標であった。
プラザ合意およびガットからWTO(世界貿易機構)への移行と過去十年、先進国の政治システムを取り巻く国際環境は大きく変動し、各国の政策を規定する独立変数としてこれらの国際機構、非制度的な国際協力システム、さらに条約の存在がきわめて重要な意味を持つに至った。今回の比較研究の結果得られた最大の知見は、これらの国際的な政策の標準、規格が各国に浸透することによって、従来の政治的な対立軸とは違った次元で新たな政治的対抗軸が出現しつつあるという事実であった。経済政策の関する国際的標準の浸透をグローバル化と呼んでおく。グローバル化の主たる柱は、政府規制の縮小、財・サービスの貿易の自由化、企業に対する税制の下方への共通化である。一方で各国の指導者レベルでは、サミット、G7首脳会議、APECなどこれらの政策の国際的標準かを協議する機会が近年ますます増えており、指導者におけるグローバル化へのコミットメントは深まりつつある。
しかし、グローバル化は各国の国内政治において強いリパ-カッションを引き起こし、それぞれの国の政党システムや政党の支持基盤を大きく揺るがすに至った。日本については山口が経済政策、財政・金融政策についてケーススタディを行った。そこでは、いわゆる55年体制の崩壊について、当時の与党の内粉など政党内の政治力学的要因によって説明できるとする一般的見解に対して、巨視的に見た場合、自民党政権による国内の各セクターに対する保護と引き替えに成立・持続してきた55年体制が、グローバル化によってその基盤を堀り崩されてきている点に注目すべきことを指摘した。もちろん、政治変動の引き金は与党内の権力抗争が引いたにせよ、グローバル化を推進することによって利益を得るセクターと政治力を使ってグローバル化を阻止することに全力を挙げるセクターとの間の矛盾の中で政党自体が意志決定不全状態に陥っている。この点は、55年体制以後の政党再編成の中でも中心的な争点となる。
ヨーロッパ、アメリカについてヘルド、マグル-が事例研究をふまえた分析を加えた。ヨーロッパの場合、EUという地域レベルでのセミ・グローバル化が進み、国内政治へのショックが小幅なものになった。しかし、通貨統合については各国で国益優先主義と統合優先主義との対立が起こり、EUの統治能力が問われている。アメリカでは、NAFTAの締結によってグローバル化はさらに拍車がかかり、国内政治の基盤も変化した。農民組合、労働組合、製造業者など伝統的に影響力を持ったセクターは政治的に交代し、民生、共和を問わず新しい指導者はグローバル化によって利益を得るセクターを支持基盤に取り込もうとしている。グローバル化から落ちこぼれるセクターは第三政党の結成や、共和党内際保守派(孤立主義派)への支持に向かっている。
いずれの場合でも、既存の政党はグローバル化に対して一致した対応をとることはできず、政党横断的な形でグローバル化に対する態度が分かれていることが共通している。1990年代後半に日本のみならず、ヨーロッパ、北米でそれぞれ政党政治の危機がいわれ、政党再編成の可能性が論じられる背景には、グローバル化に対して政党が共通の利益を発見できないという事実が損するという点で参加者の見解が一致した。
こうした事態は、従来の政党政治や民主主義に関する古典的なモデルの限界を物語る。川崎はこうした変化を受けた民主主義、政治権力の再編成について試論を提示した。政治権力を2層に分け、古典的な資源配分にかかわる権力のシステムと、こうした各国の権力システムの存立の基盤自体を操作するハイパー・システムとしての権力を想定する必要があるというものである。

報告書

(3件)
  • 1995 研究成果報告書概要
  • 1994 実績報告書
  • 1993 実績報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (11件)

  • [文献書誌] 山口二郎: "Change Between the Political and Bureaucratic in Japan" 北大法学論集.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 山口二郎: "Meaning of Current Political Change in Japan" 北大法学論集.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 川崎 修: "ハンナアレントの20世紀" 姫路独協大学法学部紀要.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 川崎 修: "権力論の再構成" 思想.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Jiro Yamaguchi: "Change between the Political and Bureaucratic in Japan" Hokkaido Law Review. (forth coming).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Jiro Yamaguchi: "Meaning of Current Political Change in Japan" Hokkaido Law Review. (forthcoming).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Osamu Kawasaki: "Political Theory and 20th Century" Himeji Dokkyo University Law Review. (forthcoming).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Osamu Kawasaki: "Reconstruction of Political Power" Shiso. (forthcoming).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1995 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 山口二郎: "55年体制崩壊後の政策決定過程" 日本政治学会年報. (予定). (1995)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 山口二郎: "日本型政党政治における選挙のイメージ" 北大法学論集. 45. (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 川崎 修: "権力論の現代的位相" 思想. 840. (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書

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公開日: 1993-04-01   更新日: 2016-04-21  

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